2021年02月18日

【おすすめ本】春名幹男『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』─米国の軍産複合体が仕掛けた恐るべき細工の全貌を明かす=萩山 拓(ライター)

今から45年前、明るみに出たロッキード疑獄。全日空の新型旅客機トライスター購入を巡り、米国ロッキード社が、巨額のカネを日本の政治家や商社役員、「政商」小佐野 賢治らにバラまいた贈収賄事件である。
 これまで米国側の秘密文書が公開されず、日米の根幹に絡む「巨悪」の 闇は放置されてきた。その結果、数多くの陰謀説が流されてきた。
 その経緯を巡り、国際ジャーナリストである著者が、米国立公文書館などの記録や資料を精読、15年に及ぶ調査と取材によって、真の「巨悪」の 正体をあぶりだし、その訴追が阻まれてきた理由に迫る。

 なぜ田中角栄は逮捕され葬られたのか?「日中国交正常化」など独自の「角栄外交」を嫌った米国は、田中角栄とキッシンジャー国務長官との対立が激化するにつれ、角栄の訴追へ導く「ある細工」が準備される。
 それはロッキード事件の捜査文書5万2千頁のうち、「Tanaka」と記された証拠文書2860頁分のみ、日本の東京地検特捜部に渡し、角栄を逮捕させ、真の「巨悪」を隠 す細工であった。
 しかも、この「巨悪」 は、ロッキード社が主眼としていた対潜哨戒機P3−Cの売り込みにも暗躍し、さらには2年後に発覚する軍用機導入を巡る、ダグラス・グラマン 疑惑にも絡むのだが、訴追を逃れてきた。
 著者は<第3部:巨悪の正体>で詳述しているが、元A級戦犯・戦後右 翼のフィクサーとして政財界に隠然たる影響力を行使した人物と指摘。
 本書は、600頁に及ぶ書下ろし。戦後一貫して日本を覆う米国の「安保利権」の裏側と謎の解明が鮮やかで、一気読みできる力作。(KADOKAWA2400円)

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posted by JCJ at 02:00 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする