2021年03月07日

【今週の風考計】3.7─福島原発にたまる核ゴミ880トン、どう処理するの?

◆10年目の「3・11フクシマ」を迎える。筆者は東日本大地震が起きた2011年3月11日(金)14時46分、奈良の寺社を回る旅のなか、東大寺二月堂で行われる、<修二会>の「お水取り」を見るため、鹿のいる奈良公園のそばにいた。
 早めの夕食を取ろうと、町中に戻って蕎麦屋に入ったところ、店のテレビ画面に津波の襲来が大写しにされている。何事が起きたのか、携帯電話で東京の息子に連絡してみるがつながらない。
◆東北地方に大地震が起きたのは分かった。ともかく「お水取り」法要のハイライト、火のついた松明が夜空に舞い、火の粉が舞台から下へと降り注ぐのを見たく、大地震の様子は後回し、松明の燃えがらを大事に持ち帰ってきた。

◆あれから10年、福島第一原発事故はなぜ起きたのか。そして今は、どうなっているのか。NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」』(講談社)が、タイミングよく明らかにしてくれる。
◆「3・11フクシマ」の被害は、半径250キロ・3千万人が被ばくする「東日本壊滅」に及ぶという最悪のシナリオまで想定されていた。1号機から4号機まで爆発し、大量の放射性物質が放出され、東日本全体がチェルノブイリ原発事故に匹敵する壊滅状態に行き着くという。これらの地域が自然放射線レベルに戻るには、数十年かかると予測された。
 また大津波の襲来を軽視したため、波をかぶって「電源喪失」事態に陥り、運転中の原発1〜3号機の全てが炉心溶融(メルトダウン)し、さらに地震発生後、1日から4日の短期間に連続して水素爆発などを起こしたのは、世界でも初めてだ。

◆福島原発4つの原子炉や格納容器内で何が起きていたのか。まずメルトダウンである。核燃料に含まれる金属ジルコニウムと水が高温状態に置かれると化学反応を起こし、水素を発生させるだけでなく炉心がメルトダウンに至る速度を速める。
 2号機が残した核燃料や金属のゴミ「デブリ」を分析すると、そこには溶け残っている金属が多く、高温に達していない事実がわかってきた。水が入らなかった2号機は、水─ジルコニウム反応が鈍くなり、1号機や3号機に比べて原子炉温度が上昇せず、メルトダウンが抑制された可能性があるという。
 1〜3号機の「デブリ」の分析から、メルトダウンや爆発の原因が、さらに明らかにされる期待が強くなっている。

◆さて厄介な核燃料ゴミ「デブリ」は、いま原発格納容器内に880トンもたまっている。遠隔操作によるロボットアームの作業1回で取り出せるデブリ量は、わずか1グラム。どうやってスピードアップさせるか、思案投げ首の状態だ。
 もっと深刻なのは、今も1号機の格納容器の奥底から延びるサンドクッション管から、放射能汚染水が、勢いよく漏れ出ていることだ。しかも1号機の原子炉建屋の1階周辺では、いまだに1時間当たり630ミリシーベルトという高濃度の放射線が拡散している。2号機周辺は5.8ミリ、3号機は22ミリ、比較にならないほどの高さだ。
◆これも高さ120メートルの排気筒に伸びる配管、これは放射性物質を含む蒸気や水素ガスを外に放出する「ベント」のための配管だが、これが10年以上も前から根元で切れ、放射線などが排出されずに地表にたまったと考えられている。
 東京電力のお粗末、杜撰さは極まりない。(2021/3/7)
posted by JCJ at 07:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする