2021年03月18日

【スポーツ】 被災地逆なでの聖火リレー=大野晃

 東京五輪の聖火リレーが3月25日に関係者だけの静かな出発式で、密やかに福島県のJヴィレッジをスタート。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策で無観客というが、まるで東日本大震災の被災地を刺激しないように、沿道の大きな歓声が制限される中を聖火が運ばれるようだ。
  大震災から10年たっても復興道半ばで、苦闘が続く被災地には、逆なでする「復興五輪」の宣伝に映りかねない。 被災地支援に動いてきた競技者たちを悩ませる。
 組織委員会によれば、121日間かけて全国859市区町村を巡る予定で、緊急事態宣言などが発令中の地域では、公道でのリレーを見送り、無観客の点火式だけ実施するという。
 しかし、東京周辺で開幕直前に公道以外を走る芸能人ランナーの走行場所確保など、調整は難航しているらしい。
 聖火リレーは、1936年ベルリン五輪へ向けてナチス・ドイツが始めたもので、五輪の政治利用の典型だった。しかし1964年東京五輪へ向け日本が盛大に催し、五輪の重要行事になった。
  筆者も高校生で参加した経験を持つが、五輪の理念や意義を学校で学び、平和の使者を気取って、誇り高く走ったものだ。
 半世紀がすぎて、辞退者が続出する歓迎されない行事に転じてしまった。
 学校や地域で子どもたちに、理念や意義がしっかり教えられることがなく、世界中から多くの人々が集まって交流する機会のない五輪では当然かもしれない。
 強引に政府などが強行する政治的行事が、国民の五輪開催機運に逆効果なのは間違いない。五輪そのものが歓迎されなくなる恐れもあり、競技者は追いつめられる。
 マスメディアは、政治利用を厳しく監視しながら、五輪の意義と競技者、応援する国民の関係を改めて問い直す必要があるだろう。 開催の相乗利益を狙って煽るだけでは、国民の不信を増幅させるばかりだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする