2021年03月25日

【焦点】なぜ米中 海底ケーブルで激突するのか=橋詰雅博

 米中が海底に敷設する光ケーブルをめぐり攻防を展開中だ。
 この光海底ケーブルは太平洋や大西洋などに張り巡らされる。メールや金融取引情報、国際電話など膨大な国際データ通信のほとんどが海底ケーブルを通る。速く、安く、安定して送れるのが売りだ。日米仏が世界シェアの9割を占めるが、ここにきて中国がその市場に食い込もうとしている。
 中国企業ファーウェイの関連会社は、3年前にカメルーンとブラジルの約6000キロメートルをつなぎアフリカ大陸と南米大陸の国際通信網を築いた。日米仏は中国の参入に驚愕。当時のポンペイ米国務長官は海底ケーブル分野から中国企業を排除し、同盟国などの企業でネットワークをつくると宣言した。
 この背景には何があるのか。米政府や米国の個人・企業の情報などが中国関与のケーブルを通過すると、中国側に筒抜けになることを危惧したからだ。
 昨年6月にはロサンゼルスと香港を結ぶグーグルやフェイスブック、香港企業による共同事業計画に米司法省は待ったをかけた。香港は中国と一体と見たためで、結局、計画はつぶれた。また、チリは南米とアジア・オセアニアをつなぐケーブルを計画し、価格が安い中国企業を選ぶ段階まできたが、一転、日本に受注が決まった。チリは米国に忖度したとみられている。
 ミクロネシア連邦とキリバス、ナウルを結ぶケーブル計画でも、最近、不可解な動きが起きている。日仏企業より安値を提示した中国企業の受注が有力だったが、突然、3カ国側は「入札は無効」と中国企業に通知した。中国参入を警戒する米日豪が要求した入札見直しを受け入れたからとみられる。
 中国に5Gで後れを取った米国は、安全保障面で深くかかわる光海底ケーブルで巻き返しを図ろうとしている。
米中の激突、果たしてどちらに軍配が上がるのだろうか。
橋詰雅博
posted by JCJ at 02:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする