2021年03月26日

【出版界の動き】「巣ごもり」で高まる出版需要とアマゾン膨張

コロナ禍でも出版界の売り上げが好調─2020年の紙と電子を合わせた出版市場は1兆6168億円(前年比4.8%増)。紙は1兆2237億円(同1.0%減)、そのうち書籍6661億円(同0.9%減)、雑誌5576億円(同1.1%減)だが、電子出版3931億円(同28.0%増)の効果で、2年連続のプラス成長となった。
 コロナ禍の「巣ごもり」需要を反映し、書籍は学参・児童書の大幅な伸長に加え、文芸書、ビジネス書などの躍進が目立つ。コミックは『鬼滅の刃』(集英社)が爆発的なヒット、全23巻で累計1億5千万部、この1年間だけで1億1千万部・500億円の売り上げだ。
 また電子コミックが急伸長(同32%増)し、コミック市場は紙と電子を合わせ6126億円となった。

大手出版社の増収増益─講談社は売上高1450億円(前年比6.7%増)、純利益109億円(同50.4%増)の大幅増益。集英社は売上高1529億円 (同14.7%増)、当期純利益209億円(同112%増)。『鬼滅の刃』の大ヒットで、コロナ禍を吹き飛ばす好決算の原動力となった。

出版流通の危機─日販とトーハンによる「物流協業」の一つとして、雑誌の返品業務を埼玉・蓮田市の共同センターで実施する。併せて出版社に物流コスト負担を要請。またオンライン書店「楽天ブックス」が、千葉・市川市にある物流センターで稼働。午前中に注文すると翌日に届く「あす楽」サービスの対象商品も拡大させる。
 出版社や取次・書店の間でSkypeやZoomを使ったオンライン商談が進む。

アマゾン膨張─アマゾンが日本国内で売上げた2019年度の販売額は1兆7443億円。アマゾンの出版物販売額は3000億円近くとなる。いまやアマゾンは書籍流通で約2割のシェアを占め、KADOKAWAを始めとして、直接取引出版社は3631社(前年比689社増)、取次機能も果たすようになった。
 さらにアマゾンは、書店から注文のあった出版物の卸し事業にまで参入する。そのため物流拠点を府中、上尾、久喜、坂戸の4か所10万坪を開設し計21拠点に増やす。
 この影響を最も受けたのが出版業界で、とりわけ書店は経営が厳しく閉店・休店が続き、2020年に9762店(前年比422店の減少)、ついに1万店を切った。

出版物と外税表示─4月1日から消費税額を含めた「総額表示制度」が義務化されることに対し、出版協は消費税の「外税表示」の恒久化を要望。「再販商品である出版物については、消費税率改訂のたびに事業者に新たな諸費用・負担がかかり、在庫書籍の絶版化を再び招きかねず、読者・消費者にとって最大の文化的不利益となる」との理由から、総額表示に反対の意思を表明していた。
posted by JCJ at 02:00 | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする