2021年03月27日

【沖縄リポート】浦添軍港「反対はこれから」=浦島悦子

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 1月25日の沖縄地元2紙は1面トップで、陸上自衛隊と米海兵隊が2015年、米軍キャンプ・シュワブに陸自の水陸機動団を常駐させることを極秘合意していたと報じた。これは、私たち地元住民をはじめ市民・県民が強い反対の民意を何度示しても、異様なほど辺野古新基地建設に固執する日本政府にかねてから抱いていた不安を裏付けるものだった。
 これに対し、沖縄県知事をはじめ県民は一斉に反発。岸信夫防衛大臣は「合意はない」と否定したが、オスプレイ配備をはじめ、これまで政府・防衛省による隠ぺいや虚偽答弁などを繰り返し見せつけられてきた県民がそれを信じるのは難しい。
 私たち「ヘリ基地反対協議会」は2月3日、沖縄防衛局を訪ね、「合意はない」とする根拠を問い質したが、対応した職員は「常駐は考えていない」という公式見解を繰り返すのみ。各島々に次々と自衛隊基地が強行建設されていく現状の中で、南西諸島全体の軍事要塞化、その中枢としての辺野古新基地、という戦慄すべきシナリオへの懸念は強まるばかりだ。
 2月7日に投開票された浦添市長選は、辺野古と並ぶ新基地建設=浦添軍港が最大の争点だった。那覇軍港の移設先とされる浦添の海は、都市部に奇跡的に残ったサンゴ礁の自然海岸だ。私はかつて観察会に参加し、その豊かさ、美しさに魅了された。地元住民の粘り強い運動で海岸道路建設による埋め立てから免れた経過もある。
 軍港容認の現職に対し、反対を明確に打ち出した38歳の女性候補・伊礼ゆうきさんは元看護士(写真 )。コロナ禍の中で、自然と人間を含むすべての命に細やかな配慮のできる女性市長の誕生を期待したが、超短期決戦、また県知事・那覇市長が軍港容認という複雑な構図の中で、自公に支えられた現職に及ばなかった。しかし伊礼候補が獲得した約2万2500票は大きな力だ。彼女の選挙を支えた市民らは投票日の翌日、「軍港反対はこれから」と、元気に街頭に立った。
 浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年2月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする