2021年04月09日

【月刊マスコミ評・新聞】官僚は「体調不良」ですぐ入院=白垣詔男

 オリンピック・パラリンピック組織委員長、森喜朗が「女性べっ視発言」で失脚したとき、新聞各紙は「男性社会の弊害」を力説した。ところが、内閣広報官、山田真貴子が3月1日に辞職した際の報道では「男性目線」しか感じなかった。
 西日本は3月1日夕刊で、山田が「体調不良を訴え2月28日に入院した」「加藤勝信官房長官は、自民党に山田氏の診断書を示して経緯を説明した」(共同通信)と報じた。
 ところが、「体調不良」「入院した」それ以上の中身は他紙も触れていない。山田は政治家並みに、立場が不利になるとすぐに入院してしまい、説明責任がうやむやになった。入院するほどの体調不良とは、どんな症状なのか、どの新聞も(ラジオ・テレビ報道もそうだが)伝えていない。細部まで知りたい「国民目線」からの指摘がない。
 かつて、首相、橋本龍太郎が長期入院した報道の際、それを知った、病気の親族を抱える多くの女性から「それほど長く入院できる病院を教えてほしい」と新聞各社に問い合わせが相次いだことを思い出した。今でも病院への長期入院は日数が限られているから、当時、「橋本入院」という報道各社の「男性目線ニュース」の先にある中身について、そうした女性は強い関心を示した。報道した側には、そうした考えがなかったようだ。これは「男性社会」では気付かない「関心事」だろう。
 山田に話を戻すと「体調不良で入院した」のが当たり前のように報じているのも、おかしい。「ジャーナリスト」先号2面で小滝一志さんが追悼文をお書きになっている元NHKディレクター、戸崎賢二さんは、体調不良で救急車を呼んだが、入院する病院が見つからず自宅に帰された後に亡くなったと聞いている。悔やまれてならない。
 コロナ禍のなかで一般市民がこのような悲惨な扱いをされているのに、山田は即入院できた。そこを各報道は触れていない。「上級国民」という使いたくない言葉がある。山田が「菅首相のお気に入りで首相官邸幹部」つまり「上級国民」だから、こうした待遇が可能になったのか。
 そう考えると、菅が政権発足時に「国民のための政治」「自助、共助、公助」を強調したのも、こうした現実を意識しているからではないかと勘繰りたくなる。
 白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号

posted by JCJ at 02:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする