2021年04月25日

【今週の風考計】4.25─コロナ禍の陰で目白押しの「悪法」、拙速採決を許すな!

▼3度目の緊急事態宣言が発せられた! 国民が対応に追われるなか、国会では6月16日の会期末をにらみ、目白押しに並ぶ問題法案の拙速審議や強行採決への策動が強まっている。政府が提出した法案は63本、そのうち3本以上を束ねた法案が26本に上る。
デジタル監視法案─新規に制定する法案4本と59本の関連法案を束ねる法案1本を加え、すべて一括審議するという乱暴な国会運営が進んでいる。
 それもデジタル庁を9月に設置したいがため、衆議院では27時間の拙速審議を強行、かつ28項目の付帯決議を付けて6日に衆議院を通過させるや、14日から参議院で審議入り。連休明けには強行採決に持っていく構えだ。 
▼そもそもこの法案、個人情報を企業や政府などが、本人の同意も得ずに利活用できるようにするのが狙いだ。憲法が保障するプライバシー権を侵害し、個人情報の恣意的な利用、さらには国が一元管理し、国民監視のツールとして悪用する危険が、きわめて大きい。

入管法改正案─16日から審議入りしたが、その内容が問題だ。この3月には名古屋市の入管施設で体調が悪化した33歳のスリランカ人女性が死亡した。また在留資格を失い強制退去の不安にさらされる人の中には、過酷な労働を強いられた技能実習生、学費が払えず退学を余儀なくされた留学生もいる。
 さらに難民申請を3回以上行った申請者は強制退去の対象となる。日本は難民認定率が極端に低い。年間0.4%、50人に満たない。ドイツや米国は25%以上の認定をしている。この法案は移民・難民の排除につながり、「国際的な人権基準を満たしていない」と指摘されている。

75歳以上の医療費・窓口負担2倍化法案─単身で年収200万円〜383万円未満、あるいは夫婦ともに75歳以上・年収合計320万円以上の該当者は、医療施設での窓口負担が1割から2割となり、合計約370万人が自己負担は2倍になる。
 負担増は年間で2万2千円と試算される。年収が383万円以上の高齢者はすでに3割負担だ。とにかく老人保健制度の国庫負担が35%では少なすぎる。せめて45%に戻すべきだ。
 
改憲手続法・国民投票法─自民が5月6日に採決を提案。トンデモナイ。コロナ感染拡大を受けて、菅首相を初め「緊急事態条項の創設」を求める声が大きくなっている。しかも、これを機に改憲へもっていこうとは、まさに火事場泥棒″ではないか。
 政府のコロナ対応の失敗を憲法の不備にするのは、御門違いも甚だしい。十分な補償や抜本的な検査拡大に全力を挙げれば、憲法を変えなくても対応できる。
 まず多くの国民は、憲法改正論議など望んでいない。やってほしいのはコロナ対策であり、私たちの命と生活を守る施策であり、公文書改ざんや官僚接待、さらには「政治とカネ」で地に堕ちた議員モラルを正すことだ。
 まずは広島・長野・北海道の選挙結果を、よく汲みあげるのが先。(2021/4/25)
posted by JCJ at 07:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする