2021年05月03日

【焦点】スーパーシティ計画に31自治体が手を上げる 個人情報の利活用拡大など問題だらけ=橋詰雅博

 政府から国家戦略特区の指定を受けて自ら提案したスーパーシティ計画を実施する予定の自治体が31手を上げた。政府が公募し4月中旬で締め切ったもので、これから専門調査会、国家戦略特区諮問会議を経て閣議で5カ所の区域が決められる。

 9年後完全整備
 東洋大学の竹中平蔵教授が旗振り役になったスーパーシティ構想はAI(人口知能)やビックデータなどを利用して丸ごと未来都市≠従来の規制を緩和してつくる。ここでどんなことが実現されようとしているのか。乗り物の自動走行、ドローンによる自動配送、キャッシュレス決済、オンライン教育・診療、エネルギー・ごみ・水道などの自動コントロールシステム、防犯のためのロボット監視などだ。これらを9年後の2030年に完全整備する方針だ。

 監視社会を強化
 マスコミはあまり触れていないが、問題なのはここに住む人たちの生活が脅かされること。大きなポイントは2つある。
 一つ目は個人情報の保護がないがしろされる危険性がある。この構想を実行するのは、国家戦略特区データ連携基盤事業者だ。IT企業や自動車メーカー、コンサルタント会社などが中心となる事業者は、国や自治体、企業が集める個人情報を盛り込んだビックデータを利活用できる。加工されて個人が特定されない情報もあるが、特定できる形のまま受け取れる情報もある。また、街中に多く設置される監視カメラで得られる人の往来や交通量といった空間データ≠燗手が可能だ。要するに自分が知らないうちに個人情報が勝手に使われようとしている。
 二つ目は、住民の合意をどういう風に得るのかが不透明である。区域会議というものを設置して、役人や事業者と住民が話し合い合意を得るそうだ。住民の誰もが参加できるわけではないので、住民代表という一握りの人の意思が反映されるだろう。計画に疑問を持つ人や反対の人はこの会議に参加できるのだろうか。さらに構想に不参加の人の権利は保証されるのだろうか。なによりもそうした前に住民投票という手段で実現の可否を決めることはできるのか。さまざまな疑問に対して答えは出ていない。住民を置き去りにして構想をゴリ押しすることは許されない。

 トロントで中止
 カナダのトロント市ではグーグルの子会社が進めたスマートシティ計画(スーパーシティの中身とほぼ同じだが、海外ではこう名付けられている)は、事前の情報が不十分だと区域住民の反対で計画はつぶれた。
極端に言えばスーパーシティ計画は、あの中国のような監視社会が各区域で出来上がってしまう恐れがある。
  橋詰雅博
posted by JCJ at 02:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする