2021年05月07日

【リアル北朝鮮】五輪不参加の背景は? 撤回もあり得る=文聖姫

 北朝鮮は、おそらく世界で最も早く東京オリンピック・パラリンピックへの不参加を決めた国だ。同国の体育省が運営するホームページ「朝鮮体育」は4月6日、3月25日にテレビ会議方式で開かれたオリンピック委員会総会で、「悪性ウイルス感染症(新型コロナ)による世界的な保健危機状況から選手たちを保護するために、委員らの提議にもとづいて第32回オリンピック競技大会に参加しないことを討議決定した」と伝えた。「朝鮮中央通信」は先に、3月25日にテレビ会議方式で総会が開かれたことは報じていたが、五輪不参加を決めたことは伝えていなかった。
 北朝鮮が五輪不参加を決めた背景には新型コロナの蔓延がある。日本では東京、大阪など大都市圏で感染者数が減少していない。万が一派遣された選手団の中から一人でも感染者が出たら、全員が「濃厚接触者」となり、彼らの帰国さえおぼつかなくなるかもしれない。
 北朝鮮は昨年1月、どの国よりも早く国境を完全に封鎖した。現在でもそれは続いており、北朝鮮の命綱である中国との貿易額も大幅に落ち込んでいる。2020年の朝中の輸出入額は5億3905万ドル(約590億円)で、19年比で80・7%減少した。国境封鎖による物資不足は深刻さを増しているとされ、平壌に滞在する外交官らも「脱出」せざるを得ない。ロシア大使館の職員が家族とともにトロッコで鉄道を走る写真は象徴的だ。  
 そこまでして北朝鮮は新型コロナが流入する事態を抑えようとしている。これまで北朝鮮で感染者が出たとの報道はない。それだけに神経をとがらせているのだろう。
 ただ、金日国体育相は総会で、「新たな5カ年計画期間に国際競技でメダル獲得数を増やし続け」なければならないと強調していることから、五輪に参加する意思はあったことがうかがえる。不参加表明を撤回する可能性も100%ないわけではないと、筆者は考える。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年4月25日号
 

 
posted by JCJ at 02:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする