2021年05月22日

【スポーツ】五輪代表の意見集約を=大野晃

「緊急事態宣言は東京五輪開催と無関係」と、強気なバッハ国際オリンピック委員会会長は、五輪出場の競技者への新型コロナウイルス感染症ワクチン確保を発表し、優先接種を促した。しかし、五輪競泳代表の池江璃花子さんはSNSで五輪出場辞退を求められたと、悩みを訴え、陸上代表の新谷仁美さんは優先接種に疑問を投げかけた。
  国民の命を大切にしない開催強行と、多くの国民が不信を募らせる中で、五輪代表に動揺が広がっているようだ。
 懸命な努力の舞台やスポーツの力を示す機会などと競技者擁護が、五輪開催理由として強調される。しかし、代表の心情は複雑だ。ほとんどの代表が、国民と対立しての五輪を求めないようだが、開催是非の意見は伝わらない。
 代表の開催判断停止は、五輪をめぐる国民の分断を招きかねない。
 五輪は特別なスポーツの場にすぎず、開催できなくとも、スポーツ機会が消えるわけではない。関係者が、自主的に開催を決める大会であり、競技者第一が基本だ。五輪代表の自由な意見集約を保障しなければなるまい。
 日本オリンピック委員会は、1980年モスクワ五輪ボイコットで、それを怠った。苦い経験である。
代表は意見集約のために連絡を取り合い、五輪を招致した東京都や支援する政府に、コロナ禍急拡大でも開催する意義や条件を細部にわたって示すことを要求し、当事者として疑念を晴らす必要がある。
 希望的観測による感染対策がことごとく失敗しながら、甘い見通しの開催準備を示すだけなら、開催断念も辞さない覚悟で、議論を深め、意思表示すべきだ。海外代表の不安払拭に、ホスト競技者の責任がある。
  代表に影響を与えてきたマスメディアは、冷静な判断を促す義務がある。従順さを強要し、メダル獲得を煽るのは犯罪的だ。
  命の危険にさらされた人々を元気づけるなどと、傲慢な態度は代表の資格を失い、競技生活の将来はないだろう。
大野晃(スポーツジャーナリスト)

posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする