2021年05月31日
【裁判】国側主張通りの不当判決 海自艦「おおすみ」事故 遺族側は控訴=沢田正
広島県沖の瀬戸内海で2014年1月15日、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突し、釣り船の船長ら2人が死亡した事故をめぐり、遺族らが国に損害賠償を求めた訴訟の判決が3月23日、広島地裁であり、谷村武則裁判長は、国側主張通りに認めて請求を棄却した。原告側は「事実誤認の不当判決」として25日控訴した。
裁判で原告側は、おおすみが後方から「第1戦速」と呼ばれる戦闘態勢の高速で釣り船に接近し、針路が交差する態勢になったのに回避義務を怠ったのが、衝突の主因と主張。海自側は、おおすみに回避義務はなく、衝突直前の釣り船のおおすみ側への右転が衝突原因と主張した。
釣り船の乗客は「右転していない」と証言、当時の艦長らおおすみ乗員から「釣り船の右転を(明確に)見た」という証言はなかったが、判決は海自側主張を採用した。
判決の報道は地元2紙が社会面3〜2段、全国紙は社会面などで1段や広島面2段、朝日はなしと低調だった。自衛艦と民間船の事故が続く中で報道の役割が問われている。
沢田正(広島支部)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年4月25日号