2021年06月05日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】五輪異論を排除するNHK 役割を放棄

                      
2105 長野市内.jpg

 抗議の音声消す
 今年4月1日聖火ランナーが長野市内を走っていた時のことだ、一瞬30秒ほど音声が中断した。NHKは「聖火リレーライブストリーミング特設サイト」を設置し、動画配信をしている。ところが長野市内で「オリンピックに反対」「オリンピックはいらない」などの声が入った。そしてその瞬間音声が消えて、映像だけになった。
 東京オリパラ反対運動をしている人々がデモ行進し、その声が入ってきたのだ。
 NHKは「五輪反対の声を意図的に消したのだ」とみられている。この事実に抗議した市民団体は「NHKは東京オリパラ当事者のように、開催準備を進め、異論を排除している、メディアとしての報道を放棄している」と批判している
 NHKには前歴がある2019年6月沖縄戦没者追悼式に出席した際、来賓挨拶に立った安倍首相(当時)に対し会場から「もりかけ」(森友、加計)、「嘘つき」、「帰れ」などのヤジが飛んだ。それを中継していたNHKは消したのだった(民放は流した)。

 Nスペ中止命令
 1月24日NHKスペシャルで「令和未来会議、どうする?東京オリンピック・パラリンピック」という番組があるとTVガイドに載っていた。見ようと思って待ち構えていたところ、内容が全面差し替えになり、「わたしたちの目が危ない」というどうでもいいような番組(再放送)に差し替えられた。前例のない出来事だ。
 『週刊現代』(2/13)が「Nスぺ五輪特集がお蔵入り、局内騒然、官邸の影」、「前田晃伸会長が総理に言われて差し替えたか、忖度したかのどちらかだ」、と報じた。五輪問題のNHKスペシャルは、諸外国からの観客を受け入れないことが決まった後、3月22日にようやく放送された
 ところがこの放送中止のいきさつが「NHKと政治と世論誘導」というタイトルで『世界6月号』が詳しく記載したことから改めて問題となった。
 それによれば、収録中止命令が出たのは1月17日に収録する予定が進んでいた僅か2日前の1月15日のことだったという。1月24日の放送されることは、すでに正式の告知もされていた。スタジオのセットの建て込みも行われていた。
 2日後の収録、1月24日の放送の延期を指示したのは正籬聡(まさがきさとる)放送総局長だったことが明らかになった。ちょうどこの時期は感染が加速度的に増加し、世論調査で東京オリパラ中止が勢いを増す時期と重なっている。番組の中でオリパラ中止の論調が広がる可能性を危惧したのではないか、と私は思った。
2106 いっ.jpg

 NHKの2021年度国内は放送番組には「東京オリンピック・パラリンピック開催の機運を高める編成」という項目がある。そのため世論調査の方法も変えた、1月までは開催、中止、延期の3択で、延期と中止が8割近くとなった。2月からは開催、観客制限、無観客、中止の4択となり、開催系が6割、中止が3割なったが、5月には開催系44%、中止系49%に戻った。
 NHKは五輪開催に固執する菅政権の後押しをしているのだ。受信料に支えられているのに、メディアの役割を自ら放棄したといえよう。
隅井孝雄(ジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする