2021年06月06日

【今週の風考計】6.6─いま必要な“変異ウイルスの災典”を避ける決断

『オリンピック 反対する側の論理』(作品社)という本が注目されている。著者のジュールズ・ボイコフは元五輪選手で、米パシフィック大学政治学教授を務める。
 五輪開催に伴う膨大な経費、開催都市の再開発がもたらす環境破壊、選手を使い捨てにする過度な商業化など、その弊害を告発し、世界に広がる五輪反対の動き、その論理と背景を明らかにしている。

7月23日の東京五輪開会式まで50日を切る中、世界各国のメディアが「東京五輪中止」の記事や論評を発信する度合いが加速している。
 この3日には、英国の高級紙「ガーディアン」が東京五輪中止を報道。同日、フランスのニュース専門放送局「LCI」が、新型コロナ禍での東京五輪について「大失敗のリスクがある」と強い警鐘を鳴らし中止を強く要請した。
それも当然、様々な変異ウイルスが東京五輪に持ち込まれるリスクは否定できない。平和の祭典のはずの東京五輪が、“変異ウイルスの災典”になりかねない。IOC“ぼったくり男爵”バッハ会長への批判も強まるばかりだ。

東京五輪・パラに世界各国から選手が1万5千人、そして大会役員・報道陣など7万8千人が一緒にやってくる。海外の選手・大会関係者9万3千人は「特例入国」扱いとなり、コロナ検疫のための施設隔離、すなわち「停留」が免除され、入国後ただちに練習などができる。
 開催中は東京・晴海の「選手村」やホテルに選手・関係者を隔離し、外部との接触を制限する「バブル方式」で感染を防ぐという。
だがこの隔離「バブル方式」に、延べ30万人の通訳、警備、運転、清掃などに携わる国内関係者が、公共交通機関で自宅などから通い仕事に就くことが判明した(東京新聞6/4付)。30万人中、ワクチンの用意は2万人分しかない。
 これでは「停留」免除されている選手や関係者が、新たな変異株を持ち込む可能性に加え、外部と隔離する「バブル方式」のほころびが、会場や「選手村」などに出入りする国内関係者に感染を広げる危険性は避けられない。

コロナ感染対策・分科会の尾身茂会長は、「パンデミックの状況では、普通は五輪開催はない…、なぜやるのか、国がはっきりとしたビジョンと開催理由を述べることが重要だ」と、菅首相による説明のみならず、JOCの責任についても言及した。
 さらに海外から来た「選手や大会関係者が日本で感染し、医療制度や検査体制が非常に脆弱な発展途上国に持ち帰るリスクがある」とも指摘した。
コロナ対策の専門家らが、近日中に開催に伴うリスク評価の提言をする。感染爆発の「ステージ4」では開催は難しい。感染急増の「ステージ3」なら最低でも無観客にというのが、大勢になってきた。
「観客もいない、選手は隔離の五輪って、塀の中の運動会みたいじゃない!」─これじゃあ、中止!それしかない。(2021/6/6)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする