2021年06月09日

【東京オリパラ】 五輪中止 外圧頼み?欧米メディアは厳しい論調=志田義寧

 7月23日の開会式まで、あと2ヶ月余りに迫った東京オリンピック。新型コロナウイルス終息の兆しが未だ見えない中で、日本政府はなお「開催ありき」の強硬姿勢を崩していない。動きが鈍い国内メディアとは違い、欧米メディアでは中止を迫る厳しい論調が相次いでおり、「外圧」に頼るしかない状況になっている。
 五輪スポンサーに名を連ねている国内メディアと違って、欧米メディアの主張は辛辣だ。米ワシントン・ポスト紙は5日付のコラムで、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼び、開催国を食い物にする悪い癖があると糾弾。このまま開催すれば費用はさらに膨れ上がるとし、中止して費用を「損切りすべき」と主張した。
 「日本の国内外に死と病気をもたらす3週間のスーパースプレッダーイベントになる可能性がある」と警鐘を鳴らしたのは、米ニューヨーク・タイムズ紙だ。4月12日付の記事で五輪開催を「最悪のタイミング」とし、懸念を表明。同じ日の英ガーディアン紙も「ショーを続けなければならないのか」と題した記事で、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催したいと意気込む日本政府に対して「その約束は楽観的であるだけでなく、まったく間違っているように見える」と痛烈に批判した。
  一部先進国ではワクチン接種が進むに連れ、「脱コロナ」の動きが加速している。しかし、インドでは新規感染者数が世界で初めて1日40万人を超えるなど、世界全体で見れば終息に向かっているとは言い難い。

  ワクチン接種率が先進国最下位レベルで「ワクチン敗戦国」の烙印を押された日本は医療逼迫により一部地域で「命の選択」を迫られる事態に陥っている。米ワシントン・ポスト紙は5日、「なぜ日本はワクチン接種でひどく失敗しているのか」と題したオピニオンを掲載。筆者のウィリアム・ペセック氏はその理由について、ワクチン製造に関する日本政府の失敗や注射実施をめぐる保守的な考え方、安倍晋三前首相と菅義偉首相の構造改革への取り組み不足などを挙げた。
 各種世論調査では、東京五輪を「中止すべき」と「再延期すべき」が6〜8割を占めている。国民が問題視しているのは、医療体制が逼迫している中で開催を強行しようとしていることに加え、開催の可否を判断する明確な基準が示されていないことだ。封じ込めに失敗している政府に「総合的に見て開催を判断した」と言われても誰も納得しないだろう。
  4月下旬には大会組織委員会が看護師500人を派遣するよう求めたことが発覚し、国民から怒りの声が上がった。「医療は限界 五輪やめて!」「もうカンベン オリンピックむり!」。重症患者を受け入れている立川相互病院(東京都立川市)の窓にこんな張り紙が掲示された。国民が望まない中で五輪を強行しても、国民は素直に応援できず、選手が傷つくだけだ。政府は張り紙の悲痛な叫びをしっかりと受け止める必要がある。
 志田義寧
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 東京五輪・パラリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする