2021年06月11日

【沖縄リポート】「沖縄・奄美 世界遺産へ」複雑な思い=浦島悦子

                           
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  5月11日、地元2紙の1面トップに「沖縄・奄美 世界遺産へ」の大見出しが躍った。国際自然保護連合(IUCN)が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島」を世界自然遺産に登録するよう勧告、7月に正式決定される見込みだという。2018年の登録延期以来3年、地元や県の「安堵」「歓喜」を伝える紙面を見ながら、私の胸は複雑だ。
 30年前、私は沖縄島北部(やんばる)の自然林を切り裂いて建設される広域基幹林道(県営)「大國林道」の反対運動にかかわり、残念ながら造られてしまった後、「琉球諸島を世界自然遺産に!」と訴える市民運動に加わった。私たちの願いは、繊細な島の生態系に合わない過度の開発をやめ、自然破壊の最たる米軍基地をなくし、海と陸を含めた島嶼生態系を一体として保全する仕組みを構築することであり、世界自然遺産登録は目的ではなく「手段」だった。
 やんばるの登録予定地は米軍北部訓練場に隣接する。2016年に過半が返還されたとはいえ、なお4000ha近くもあり、オスプレイを含め激化する一方の訓練が周辺住民と野生生物を脅かしている。返還地からは薬莢や放射性物質を含む廃棄物が次々と見つかり、かつて使用されていた枯葉剤の汚染除去もされないままだ。さらに、近接の辺野古・大浦湾海域では、世界遺産に匹敵すると言われながら新基地建設のための工事と破壊が進む。
 また奄美大島では、鹿児島県が「奄美世界自然遺産トレイル」のルートを公表したが、そのルート上にある市(いち)集落には、辺野古への土砂搬出の可能性のある採石場が立ち並ぶ。採石場周辺の自然調査を行っている「海の生き物を守る会」の安部真理子さんは、「大型ダンプが1日何台も行き来し、トレイルに書かれている『自然や人とのつながりを感じる心』とか『地域住民が地域の誇りを再認識する』とは程遠い場所だと思う」と語る(写真)。
 登録を機に、私たちが考えるべきこと、取り組むべきことはあまりにも多い。   
 浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号
 
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする