2021年06月19日

【スポーツ】競技者とメディアに一石=大野晃

 女子テニスの大坂なおみさんが、全仏オープンで記者会見を拒否し、ルールにより罰金を科されて、大会を棄権した。
「精神状態を無視された」が会見拒否の理由だったが、大坂さんは謝罪し、大会主催者は改善策を協議するという。
競技者とメディア、そして競技会主催者の競技団体の関係に、一石を投じる事態だった。
 世界的な競技会の発展は、競技者と競技団体とメディアの三者の協力で発展してきたことを歴史は教えるが、競技団体とメディアによる競技会の商業主義的利用の拡大により、三者の関係が極度に歪んできたことを如実に示す事態である。
 競技団体は、メディアを通じて競技会の興行化を拡大し、メディアは競技者を商業利用して、競技者は多額の収入を得るようになった。
 競技会の本質的意義を重視して、互いに協力する信義とルールを尊重していたはずなのだが、歯止めのない商業主義路線は、時として、信義を踏みにじる行為に走らせた。
 競技者とメディアの関係は、これまでも問題をはらんできたし、記者会見では本音を語らず、SNSを通じて意思表示する競技者が多くなった。
 競技団体はメディアを宣伝媒体とみなし、実態を隠して形式的な対応をとり、取材制限は強まるばかりだった。

 その典型が、東京五輪に現れている。
 政治利用を狙う政府や経済効果を期待する企業利益が強力にけん引して、主催者の国際オリンピック委員会は、世界の安全に不安があっても、開催強行に動き、メディアは開催利益を求め続け、競技者は競技成果に執着する。
 それらが、五輪の意義を無視した、異常な開催を招いていると言えまいか。
 しかも、コロナ禍のオンライン取材の拡大で、メディアが競技者や競技団体の実態を把握しにくくなり、五輪開催を巡る事実確認は断片的にしか進まない。
 大坂さんの一石も、東京五輪開催も、スポーツ報道の本質的な問題提起である。
大野晃
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする