2021年06月20日

【今週の風考計】6.20─下田・本土寺・明月院のアジサイをめぐる対話

10日ほど前、思い切って伊豆・下田公園のアジサイを見に行った。安政元(1854)年、日米和親条約を結んだ了仙寺の境内に咲く、アメリカン・ジャスミンに足を止める。
 さらに柳しなだれるペリーロードを歩き、日本初の商業写真家・下岡蓮杖の像を脇にして、アジサイ群落の広がる山道を登る。
その数、なんと約15万株300万輪! 種類もウズアジサイ・ガクアジサイ・墨田の花火など、100種以上。山肌に広がる薄い青・紫・黄・ピンクの大輪の先に、下田市街や下田内港・稲生沢川に舫う舟が一望できる。穏やかな山容の下田冨士も望める。
 下田城址をめぐるアジサイロードを南へ下ると、お茶ケ崎展望台に出る。左手に犬走島、眼下にイルカが遊泳する海中水族館、さらに右には赤根島や和歌の浦が見渡せる。

帰ってきて数日後、地元の一膳めし屋に行く。「カツ煮定食」ができるまでの間、こあがりの壁にかかる、額に入った2枚の大きなカラー写真に見入った。
 五重塔の前にアジサイのピンクの大輪が咲き誇る。もう1枚は広い屋根を持つ建物の前に広がる、青いアジサイの群落だ。こんなに見事にアジサイの大輪が咲く寺は、どこなのか。分からないだけに興味津々。

来客が途切れたのを捉え、訊いてみると、「松戸のホンドジ」だという。調理場から出てきた親爺の説明により、JR常磐線北小金駅から徒歩10分にある、日蓮宗・本土寺であるのが分かった。境内には1万株が植栽され、松戸のアジサイ寺として有名だという。
店の老いた親爺は大のカメラ好き。このアングルが最高で、何枚も取った中のベストを伸ばしたものという。ひとしきりカメラと風景写真の蘊蓄を聞いた後、下田のアジサイに話を振ると、得たりや応と、「あそこはいいアングルがたくさんある」と頷く。

さらには「鎌倉のアジサイ、ここも外せない」と、話を続ける。とりわけ北鎌倉の明月院、そこのアジサイは「明月ブルー」といわれ、カメラ好きには腕の見せ所。構える角度やシャッターに神経を集中する、という。
 6月ごろから、自生するタマアジサイが、大きな丸い蕾が弾けるように開花する。その澄んだ藍色は吸い込まれそうなほど。今年はコロナで行けないのが悔しくて…という。
鎌倉には建長寺や長谷寺、浄智寺、妙本寺、稲村ケ崎などなど、アジサイの名所は尽きない。コロナが終息したら、ぜひ回ってこいと勧められる。

さて14日、関東甲信地方にも梅雨入り宣言が出た。だが今年の梅雨は梅雨前線の活動が活発で大雨が多くなるという。まさに、<紫陽花や壁のくづれをしぶく雨─正岡子規>となろうか。梅雨晴れを狙って、近在の寺や公園に咲くアジサイでも見物に行こうかと思うが、それも容易ではなそうだ。(2021/6/20)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする