2021年06月25日

憲法記念日 25条を使い倒せ 危機に乗じ、壊憲*@案続々 戦争できる国にまた一歩=丸山重威 

  施行から74年目の憲法記念日の5月3日。国会議事堂前で「変えよう政治!いのちを守り、平和をつくろう」と、「2021平和といのちと人権を! 5・3憲法大行動」が、オンラインを中心に行われた。
 まず、実行委員会を代表して「九条の会」事務局長の小森陽一さんが「菅政権の無策でコロナ感染が拡大し、貧困が加速している。国が社会保障、公衆衛生への努力を決めた憲法25条、男女平等の24条、財産権保護の29条が侵されている。13条で個人の尊厳が保障され、生命、自由、幸福追求の権利があることも主張しよう。戦争法反対以来、党派を超えた統一した運動が進んできた。いまや憲法を守り生かす側から政治を変える段階」と挨拶した。

政治を変えよう
 「これから『おとな食堂』に支援に行く」という雨宮処凜さんは「憲法25条を使い倒そう」、羽場久美子神奈川大教授は「米国の中国封じ込めに参加してはならない」、清水雅彦日体大教授は「もうこんな反権力政治は終わりに」と訴えた。
枝野・立憲、志位・共産、福島・社民、沖縄の風・伊波の各党代表が挨拶。いわ山本代表のメッセージが紹介された。
 続いて、田中優子前法大総長が「憲法と自民党の改憲草案を比較してみよう。価値観、人間観、国家観が全く違う。『公共の福祉』は『公益・公の秩序』に置き換え、自衛隊は国防軍にする。憲法は捨てるか守るかどちらかだ」と強調した。

異なる価値観
 最後に市民連合代表の山口二郎法大教授が「安倍、菅政権の8年半、憲法との乖離が目立った。それぞれの場所で声を上げよう」と述べた。
一方、菅義偉首相は産経新聞に「自民党の改憲4項目を元に議論を」と発言。改憲派集会のビデオメッセージで「国民投票法は改憲の第一歩」と強調した。(→続きを読む)
   
 許せないのは、コロナ禍を機会に、憲法の精神を踏みにじる不要不急の悪法を成立を図っていること。2021年第204回通常国会に提出された「便乗・壊憲法(案)」のいくつかを紹介しよう。

手続法で前進狙う
 菅義偉首相が改憲集会で言及した「改憲への第一歩」がこの「国民投票法改正」。自民党は憲法審査会で、改憲案の審議の前提として要求、野党が反対してきた。ところが4月になって立憲民主党が突如修正案を提出。修正案は投票所の拡充など原案の「国民投票法を公選法並みに」を容れ、「3年後を目途に見直す」との付則をつけたもの。しかし肝心の広告規制や公務員、教職者の運動規制など、憲法改正の重要性や、投票の公正を確保するための議論は全くないまま。参院がどう「良識」を発揮するかが問われる状況になっている。

デジタル監視社会
 菅首相が政策の「目玉」として宣伝して計画したのが「デジタル庁」の新設。「日本社会はデジタル化が遅れている」という声に乗って、デジタル庁を創設しての行政一元化を狙ったもの。自治体などにある各種データを串刺しにして紐付け。個人の情報が本人に無断で政府に一元管理、民間にも利用できるようにする仕組み。手続きの見直しでは48の法律を改正、32の国家資格にマイナンバーを義務づける。デジタル庁のトップは首相で、官邸が情報を握ることが可能な仕組みでもある。
 共謀罪対策弁護団、秘密保護法対策弁護団に改憲問題対策法律家6団体が加わった「デジタル監視法案に反対する法律家ネットワーク」が反対の動きを広げたが、5月12日成立した。

難民は犯罪者?
入管に長期収容される外国人対策として、2月19日入管法改正案が国会に提出された。一言で言えば「管理強化」の改正で、難民など外国人の人権についての国際的移動考に逆行する。
 現行法には難民申請中の人を強制送還しない規定があるが、改正では申請3回以上になれば強制送還を可能にするほか、難民認定不認定で「退去強制令書」を拒否すると刑事罰が科せられたり、現在の「仮放免」に代わり「監理人」を創り、この監理人を厳しく監督。また、現在「難民認定」に代わる「特別在留許可」を限定的にする。
 3月6日名古屋入管に収容されていたスリランカ女性ウィッシュマ・サンダマリさん(33)が医者の入院の勧めも無視されて死亡。留学したのにアルバイトができなくなって、不法在留になってしまった若者への人間扱いしない処遇。その真相も解明しないままの法案に批判が集まった。もともと難民申請は1万375人に対し、在留が認められたのは81人(2019年)。国際水準からは大きく離れている。

土地規制で監視
 政府は3月26日、基地周辺などの土地取引を規制する「重要土地等調査規制法案」を国会提出した。防衛施設のほか、発電所、鉄道、空港などの重要インフラの周囲と約1`と離島を「注視区域」とし、所有者の情報や利用実態を調査、規制できる。場合によっては、政府の判断で移転を強制される。既に、基地周辺でのデモなどが監視対象にされており、戦前の治安維持法や軍機保護法とつながる。「戦争できる国」への一里塚だ。
 丸山重威
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号


posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする