2021年07月14日

【月刊マスコミ評・出版】「ワクチン敗戦」日本のオトコ政治=″r屋敷 宏

 東京・大手町の自衛隊東京大規模接種センターに閑古鳥が鳴いている。一方で、筆者の職場に近い病院のワクチン接種には行列ができていた。菅政権のワクチン接種作戦は、チグハグである。
 『文芸春秋』7月号の船橋洋一氏「『ワクチン暗黒国家』日本の不作為」は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でワクチン接種が最下位の日本の「ワクチン敗戦」を皮肉っている。なぜ、日本独自にワクチンの開発ができないのか?
 日本のワクチン国産生産体制整備のための資金投入は米国の十分の一以下だという。WHO(世界保健機関)では、ワクチンを買いあさり、他の国はどうでもいいと言わんばかりの日本の評判は悪いという。日本の製薬企業には海外メーカーとの共同開発・生産設備すらないという。ウイルスの遺伝情報を使うmRNA(メッセンジャーRNA)を見過ごし、ワクチン承認体制が迅速ではなく、ワクチン接種体制も滞っている、訴訟リスクを管理できていない等々。自民党、公明党は、安全保障の根本を間違えているのだ。
 もっとも注目したのは、『世界』7月号の「さらば、オトコ政治」である。日本のジェンダーギャップ(男女格差)指数が2021年も120位であることを受けての企画のようだ。編集部は「いくら女性の社会進出が進んでも、そのあり方をオトコ政治が決めているかぎり、ここはいつまでも『ヘル・ジャパン』だ」だという。
 同誌で「怒りは社会改革のマグマである」という山下泰子氏の論文「女性の権利を国際基準に 女性差別撤廃条約から考える」が問題の所在を明確にしている。「日本の裁判所で、女性差別撤廃条約を裁判規範として不平等な扱いを訴えた者が救済された事例は皆無である」という。山下氏らは、女性差別撤廃条約の日本に対する効力発生から36年目にあたる2021年7月25日を「女性の権利デー」と名付け、同条約を日本社会に浸透させることを目指すとしている。
 『月刊Hanada』7月号に登場した安倍晋三前首相は、新型コロナ対応への遅れについて「緊急事態条項が憲法に規定されていないことをもってしても、危機への意識がとても薄かった」と日本国憲法を攻撃し、「新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案は、そもそもは民主党政権時に作られた新型インフルエンザ等対策特別措置法です」と旧民主党に責任をなすりつけている。確かに、自民党の「オトコ政治」は愚劣に違いない。 
荒屋敷 宏
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする