2021年07月27日

【焦点】ロ疑獄から45年 売り込み工作で3大黒幕≠ェ存在=橋詰雅博

  45年前の今日7月27日、日本はもちろん世界が衝撃を受けた。旅客機の対日売り込みで米ロッキード社から5億円のワイロを受け取ったとされる田中角栄前首相が逮捕されたからだ。金脈問題で首相を辞任したとはいえ、最大派閥を維持し政界のドンとして君臨していた田中は、ロッキード疑獄で首相へのカムバックの道が閉ざされた。1976年の逮捕から17年後の93年末に田中は慶応大学病院で75歳で死去した。刑事被告人は死んだが、最高裁は首相の犯罪を認定した。
 ロ疑獄で表面化したのはロ社の売り込み工作に加担した黒幕の存在だ。中曽根康弘の盟友で戦後最大のフィクサー・児玉誉士夫、オランダの王子ベルンハルト、サウジアラビアの武器商人アドナン・カショギの3人だ。3大黒幕≠駆使して自社の航空機売り込みを画策した。  
 戦闘機輸入で影響力を発揮したベルンハルトは、ロ社に約3億円の手数料を要求する書簡が明るみに出たが、刑事責任の追及を逃れる代わりに世界自然保護基金(WWF)総裁など公的な役職からすべて退いた。2004年93歳で死亡。
 カショギはニクソン米大統領と関係が深く、64年からロ社の代理人に。ロ社だけでなく複数の米軍事企業の国際取引に関与し、80年代初めに総資産1兆円の富を築いた。2017年82歳で病死した。
 1958年からロ社の代理人だった児玉は、3人の黒幕の中で、貢献度が高いと評価されロ社から最も高い手数料を提示されていた。旅客機とP3C対潜哨戒機の売り込みで成功したら合計70億円の約束を交わした。ロ疑獄ではロ社の販売代理会社の丸紅と旅客機を購入した全日空の両ルートは解明されたが、児玉ルートは未解明で終わった。とはいえ脱税と外為法違反で在宅起訴され1984年72歳で病死。
 児玉ともちつもたれつの関係の中曽根は名前が出たことでロ事件モミ消しに動いた。春名幹男さんの著書『ロッキード疑獄』(KADOKAWA)によると、依頼を受けたCIA東京支局長から伝えられた駐日米大使が国務省に連絡した可能性が大きい。1982年11月、彼は首相に就任。巨悪は法で裁かれることなく2019年に百一歳で死去した。
 ロ疑獄の発覚で一時は政界浄化された。しかし時間の経過に伴い、政界は濁っていった。政治とカネの問題は相変わらず解決されていない。
 橋詰雅博
posted by JCJ at 01:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする