2021年07月31日

【おすすめ本】上西充子『政治と報道 報道不信の根源』─政治家の不誠実答弁に抗する「論点」を軸にした報道へ=菅原正伯

安倍・菅政権になって、記者会見や国会答弁で、首相や大臣が質問に正面から答えない不誠実な答弁が横行している。言質を与えない、報じる材料を与えないという政府に対し、政治報道はどうあるべきか、問題点を検証している。

 たとえば、どのように聞かれても、あらかじめ用意した同じ答弁書を棒読みする。日本学術会議6人の任命拒否問題では「総合的、俯瞰的活動」の観点で任命したと繰り返すだけで、拒否の理由は説明しないというのはその一例だ。
 あるいは記者会見やインタビューで、メディア側が「国民の間には首相の説明が分かりにくいとの声があるのですが…」と問いかける。
 これでは理解しない国民の側に問題があるかのようになり、「丁寧な説明を心がけたい」というお決まりの答弁でお仕舞となってしまう。論点を明示した質問が重要だ、と著者は指摘する。

 意図的な論点ずらしの答弁を、著者は「ご飯論法」と名づけたが、あえて論点を外して答えるカラクリを見ぬいて、メディアは問い詰めないと、報道する価値もなくなってしまう。
 メディアは「与野党攻防」といった「政局」報道に偏るため、「初陣」「防護に徹した」「決定打に欠けた」「逃げ切り」など、ゲームの実況中継みたいな言葉が飛び交い、肝心の「論点」が後景に 退いてしまう。
 著者は、こうした「政局」報道を止め、問題の「論点」を軸にした報道に重点を移せば、野党議員の役割も、より正当に伝えられ、報道もより権力監視の役割が果たせるのでないかと、繰り返し強調している。(扶桑社新書960円)
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posted by JCJ at 01:00 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする