2021年08月02日

【オンライン講演】キッシンジャーが角栄を潰した 米外交戦略上 邪魔だった 春名さんがロ疑獄の核心を語る=橋詰雅博

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 元共同通信記者の春名幹男さんは(写真上)6月のJCJオンライン講演会「ロッキード疑獄から45年 角栄を葬り去ったのは誰だ!」でロ疑獄の核心を語った。
  ロッキード疑獄は全日空に旅客機を買わせる見返りとしてロッキード社から5億円のワイロを受け取った田中角栄前首相が逮捕された事件だ。1976年7月のことで、世界に衝撃を与えた。田中逮捕をめぐり様々な噂が飛び交った。米国のニクソン大統領やキッシンジャー国務長官の陰謀説、独自の供給ルート開拓をめざす田中の資源外交を警戒した米政府の仕掛け説、三木武夫首相による政敵田中≠フ追い落とし説などだ。
春名さんはこれら諸説の真偽を明らかにするため日米で取材。証言を求めて事件関係者に会い、大量に入手した政府公文書を読み込んだ。ロ社副社長のコーチャン回想録『ロッキード売り込み作戦』を始め多くの関連本を熟読した。最終的に浮かび上がったのはキッシンジャーが角栄を潰した―。

内容を事前に確認

15年間の成果をまとめた著書『ロッキード疑獄』によれば、田中ら自民党国会議員名入りロッキード資料は、75年末にロ社が米証券取引委員会(SEC)に提出。76年2月米議会でコーチャンが対日工作証言をする前に、筆頭閣僚の国務長官キッシンジャーは、内容を確認していた。資料の扱いを握るキッシンジャーはロ事件で田中が訴追されても自民党政権はつぶれない、ワイロによる販売攻勢が表面化しイメージダウンだが米企業は海外で競争に負けないと判断。ロ資料はSEC・司法省から4月に東京地検特捜部に渡った。

ジャップと罵った

キッシンジャーはなぜ田中の政治生命を奪ったのか。田中の独自外交が原因と前置きし、春名さんはこう説明した。
「72年9月に日中国交正常化を実現した田中首相は、一つの中国≠ニする中国側の主張を承認し、台湾と断交。しかし、ニクソンの2月訪中で米中関係を改善した米国は、一つの中国に関し立場表明を避けた。つまり日本は米国を追い越した。大統領補佐官(当時)キッシンジャーは『ジャップが上前をはねやがった』と田中とみられる人物らを罵った。
また,北方領土返還を前進させたい田中の対ソ外交にキッシンジャーは待ったをかけた。73年10月日ソ首脳会談前に、駐米ソ連大使を通じた『北方領土問題で譲歩しないでほしい』という要求にブレジネフ共産党書記長は同意。日中国交正常化した田中に報復した」
「田中訪ソ直前に起きた第一次石油ショック時(アラブ諸国とイスラエルとの中東戦争が原因)、石油確保のため中東政策を親アラブ≠ノ舵を切りたい田中と親イスラエル≠フキッシンジャーは正面衝突。田中の親アラブ転換でキッシンジャーの怒りは増した」
米国に従わない田中に頭にきていたキッシンジャーは米外交戦略上、邪魔な田中を嵌めたのだ。

3回面談の理由は

ところでロ事件裁判中、キッシンジャーは田中と東京・目白私邸で3回面談した。面談の理由を春名さんは「殺人現場に戻る犯人と同じような心理状態。自分が裏で糸を引いたのが田中にバレていないか調べるため」と推測した。
名前が出てロ事件モミ消しに動いた中曽根康弘は逮捕を免れた。巨悪は逃げ切った。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年7月25日号

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posted by JCJ at 01:00 | オンライン講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする