2021年08月12日

【スポーツ】五輪成績が競技の死活にぎる=大野晃

 東京五輪の異常開催とともに、全国の新型コロナウイルス感染症の感染が急拡大し、忌まわしい五輪の印象を一段と強めた。
酷暑もあって、海外の有力代表の不振が目立ち、途中で棄権も出る中で、日本勢のメダル量産が続いた。
 五輪代表は、無観客で、海外のライバルと交流することなく、ただ懸命に競技し、テレビカメラに語りかけた。
 2008年北京五輪以来、13年ぶりに五輪競技に復帰した女子ソフトボールで2連覇を達成した日本代表のエース上野由岐子さん(39)は 「あきらめなければ夢は実現する」と訴えた。
 五輪競技から、はずれた途端に、金メダル実績を無視されて、国の援助が激減した苦しさに耐えてきたからだ。
 鉄棒一つにかけて失敗した男子体操の内村航平さん(32)は「体操ニッポンを続けることが重要」と挑んだ意味を強調した。五輪成績が競技の死活を握ることを知っていたからだ。五輪経験豊富なベテランたちに明暗はあったが、その意気込みは、単に花道を飾ることではなかった。 競技支援の将来への不安を払しょくするためのようだった。
 国民のスポーツ権を保障するスポーツ基本法を、五輪至上主義に歪めた自民党政権の冷たさが身に染みるからに違いない。
 野球やサッカー以外のマイナーと言われる競技で、競技生活の継続がむずかしい環境が、ベテラン競技者の歯を食いしばっての挑戦を促したようだ。
 異常開催の政府を批判できない弱い立場で、4年に1回、ちやほやされて、失敗すれば打ち捨てられる。マスメディアのメダルラッシュの絶叫の裏で、厳しい現状に変わりはない。国民の命を大切にしない政府は、競技者も政治利用の使い捨てである。
 政府が後押しする柔道は、しゃにむに金メダル獲りに邁進し続けた。勝つことしか意味がないかのように。新競技などで躍進した若い新代表は屈託がない。五輪至上の重圧を経験せずに、楽しんできたからだろう。
 異常開催の東京五輪は、日本のスポーツ行政の異常さも、あぶり出す。
  大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする