2021年08月20日

【焦点】米国の白人人口が初めて減少 少数派に転じたとき待ち受ける社会は=橋詰雅博

米国でヒスパニック系(スペイン語を母語とするラテンアメリカ系住民)を除く白人の人口が初めて減少した。
 最新の2020年国勢調査によると、白人の人口は約1億9170万人で、10年前の調査より約500万人減った。1790年の調査開始以来初めてだ。全人口(約3億3100万人)に占める白人の割合も前回調査の63・7%から57・8%にダウン。最も増えたのはヒスパニック系で、約19%占めた。アフリカ系は約12%、アジア系は約6%だった。
 白人などの人種の割合は先行きどうなるのか。18年3月発表した米国勢調査局の報告書では、「2045年ころに白人は少数派になるだろう」と予測し、その時の人種割合は白人が49・7%、有色人種の合計は50・3%(ヒスパニック24・6%、黒人13・1%、アジア系7・9%など)とはじき出した。
 その主な理由として18年から2060年の間に有色人種の人口は74%増加する、もう一つはその間に高齢化が進む白人は、自然減で減り続けることを挙げている。

 白人が少数派に転落すると米社会はどんなことが待ち受けているのだろうか。矢部武さんの最新著書『アメリカ白人が少数派になる日』(かもがわ出版)によると、白人の特権≠ェ失われると指摘する。白人の特権とは何かについて、ペギー・マッキントッシュ博士が挙げた具体的な事例を書いている。
@ スピード違反や飲酒運転などの理由がない限り、警察官に呼び止められることはあまりない。
A 公共の宿泊施設の利用を拒否されるなどひどい扱いを受けることを心配する必要がない。
B 小切手やクレジットカードを使う、あるいは現金払いをする時、何か不都合が生じることはない。
C 一人でショッピングに行っても、警備員に「万引きではないか」と付け回されたり、嫌がらせを受けたりすることはない。
D お金さえあればどこでも好きな場所で家を購入できる、またはアパートを借りて住むことができる。
E テレビや新聞などで自分の人種の人たちがポジティブかつ好意的に報じられることが多い。
F 国の歴史や世界文明の話になると、自分の人種がいつも創始者として見られ、その功績がたくさん紹介される。
G アファーマティブアクション(積極的差別是正策)を取り入れている職場で働いていても、同僚から「個人の能力ではなく、人種のおかげで採用された」と陰口を言われることはない。
 マッキントッシュ博士は、米国では白人に有利な社会システムができているため有色人種のように努力しなくても特権を持つ白人はある程度成功おさめることができると分析している。
 だが、やがて訪れるだろう白人の人種的な優位性がなくなった時、少数派の白人は多数派の有色人種から仕返し≠受けるかもしれない。分断を回避するためなんらかの社会システムを備えるべきだ。
 橋詰雅博
posted by JCJ at 01:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする