2021年08月29日

【今週の風考計】8.29─「ざわざわ森」のセミと米国の「ブルードX」

東京都心は35℃、厳しい猛暑が続く。さらにコロナ感染者は142万人、入院・療養中は23万7千人、自宅療養11万8千人、死者1万6千人、感染拡大はとどまるところを知らない。菅首相の言う「明かり」など、どこに見えるのか。
 「ガースー」の顔が一面に踊る新聞を見るたびに憂鬱になるが、今日も朝、新聞を取りに玄関ドアを開ける。
なんと目の前で、セミが腹を上に向け、脚を動かし必死にもがいている。見ればアブラゼミ。すぐにひっくり返してやる。勢いよく飛んでいった。そういえば「今年はセミが鳴かないなー」、ふと気づく。
 これも気候温暖化、異常気象の影響か。昔は、セミが庭の樹木や道路の電信柱に止まって、よく鳴いていたものだ。捕虫網を伸ばして取ろうとすると、セミにおしっこをひっかけられ、取り損ねたのを思い出す。

本当にセミはいなくなったのか。気になって住まいから近い「ざわざわ森」へ行ってみた。2年前の森には、ドングリの実がなる広葉樹の他に、幼いタラノキが数本、2カ所に育っていたが、タラの芽を全部摘み取ってしまった不届き者のため、幼木全体が枯れてしまった。寂しい限り。
でも、ほっと安心、ここではセミが一斉に鳴いている。もちろん全てオス。メスへの求愛のためだ。
 クヌギやコナラの森を占領するように、「ジージー」と鳴くアブラゼミ。それに割り込むように「ミーン・ミーン…ミー」のミンミンゼミ、そして時々、「オーシンツク・オーシンツク…モーイイヨー」のツクツクボウシ、まさに競演を繰り広げている。
 セミは幼虫として地中で3年から17年、地上に出て1カ月、オスはあらん限りに鳴いて短い生涯を終える。

米国では、今年は17年ゼミ「ブルードX」が、地下から数十億匹も出てくる年になっている。17年に一度のサイクルで、地面の温度が約18度になる5月下旬ごろから発生する。米国南部から北上し、大西洋岸に沿ってペンシルバニア州やニュージャージー州まで広がっていく。
米国の昆虫学者が、その様子を観察ノートに記している。
 「太陽が昇り、幼虫は穴から這い出してきて、木や茂み、ベランダの家具など、手近な背の高い物体を探してよじ登る。そして体が強く硬くなるまで数時間、セミは茶色い殻を脱ぎ捨て成虫へと姿を変える。
 大きなカエデの幹が、遠目にはニキビにでも覆われているように見える。近づくと、そのデコボコはセミの群れ。上の枝の安全な場所に向かって懸命に登っている。
 成虫になったセミの体は黒ずみ、目は真っ赤になり、銅色の力強い羽根が生える。そして一刻も早く交尾したいと、力いっぱい鳴きだす。その期間は約1カ月半。」
 米国も日本も、セミの寿命に変わりはない。(2021/8/29)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする