2021年08月30日

【東京オリパラ】世界に恥さらした人格軽視 電通 五輪演出で汚点残す=橋詰雅博

de1.jpg 「五輪開幕直前まで見苦しいドタバタ続きの大会は前代未聞ではないか。仕切った電通は世界に恥をさらした」―ある大会関係者はこう断じた。
 2013年9月にIOC(国際オリンピック委員会)総会で東京開催が決まったのを受けて東京五輪・パラリンピック組織委員会は、14年4月電通にマーケティング専任代理店に指名した。五輪関連の全業務を電通に丸投げ≠オた。
 ビックビジネス到来と浮かれる様子が読み取れる社内文書にはこんな記述があった。
<電通がすべての座組みの中心にたつ。2020年、電通はソリューションカンパニーのポジションを取っているだろう。世界中のあらゆる課題解決依頼はすべて、まず電通に来ることになる>(『週刊文春』8月12・19日特大号)。
 
売り上げ一兆
『電通巨大利権』(サイゾー)などの著書がある元博報堂社員の本間龍さんはこう言う。
「当時の石井直社長は『東京五輪事業で売り上げ一兆円めざす』と全社員にメールした。大儲けの一大イベントになると読んだからでしょう。組織委を実質的に仕切るのは電通だという傲慢な態度が背景にある。東京都やJOC(日本オリンピック委員会)、政府、民間などが組織委のメンバー(最終的に8000人)ですが、人材、モノ、スポンサーの確保などあらゆる面で電通がおぜん立てした。組織委は電通におんぶに抱っこ。組織委への出向者とスポーツ局社員などを含め5、600人が五輪業務に関わった電通は、身勝手で横柄なやり方でことを進めた」
 その中心人物が五輪事業を統括する高田佳夫代表取締役だ。IOCも評価した開会式案を練り上げた女性振付師を追い出した後、高田氏と同期入社の佐々木宏氏(CMディレクター)に演出を一任。佐々木氏はあの侮蔑発言で今年3月に辞任したが、開会式では自身と太いパイプを持つ森喜朗前組織委会長が要望した市川海老蔵氏を出演させ、小池百合子都知事要望の火消し♂縁oを実施し、安部晋三応援団のすぎやまこういち氏が作曲したドラゴンクエストのテーマ曲を流した。

 高をくくった
しかし、佐々木氏辞任だけでは済まなかった。開会式作曲担当の小山田圭吾氏は障がい者いじめ発言で辞任し、開会式前日の22日には佐々木氏が引っ張ってきた演出担当の小林賢太郎氏がユダヤ人虐殺を揶揄する表現で組織委から解任された。ある広告業界関係者は「電通はタレントなどをテレビCMに起用するとき、必ず身体検査≠します。小山田、小林両氏の問題はネット空間で話題になっていた。知らないはずがない。『なんとか乗り切れるだろう』と高を括り見切り発車した」と話した。

目算が狂った
 人権軽視の日本を世界に強く印象付けてしまった。キーパンソンが次々に消えた開閉会式は、センスの悪いショボイ演出。多額の税金を使ってこの程度かと多くの国民を失望させた。
 電通の五輪事業の売り上げも目標を大きく下回りそうだ。
「売り上げは6、7000億円止まりでしょう。最大手スポンサーのトヨタ自動車が国内CMを中止。右にならえの企業が多かった。ご祝儀広告も大手新聞にあまり入らなかった。政府の強行開催の五輪に国民の反発は強かった。企業イメージダウンを恐れたからだと思います。完全に目算が狂った」(本間さん)
 電通は五輪演出で汚点を残し、世間の笑い者になった。
 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年8月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 東京五輪・パラリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする