2021年09月02日

【焦点】バイデンがアフガン米軍撤収で犯した2つの大きなミス 米ワシントン・ポスト記者が指摘=橋詰雅博

 米国での同時多発テロ9・11から20年を迎える。バイデン米大統領はこの20年周年を前にアフガニスタンからの米軍の完全撤収を実行した。軍事力による民主主義維持には懐疑的なバイデンは、オバマ大統領が2010年にアフガンへの米軍増派を実施する際、副大統領として反対したという。膨らむ一方のアフガンでの米軍事費のカットを強いられた財政的な理由もあり、20年戦争終結に突き進んだわけだが、果たして正しい選択だったのだろうか。

 朝日新聞オンラインイベント記者サロンに8月28日に出演した米ワシントン・ポスト記者のデビット・ナカムラさんは(10年から10年間ホワイトハウス担当)、バイデン大統領は撤収作戦実行を焦ったため2つミスを犯したと指摘した。デビットさんはこう続けた。
 「まずCIAなど情報機関からの報告を真に受けてしまったこと。米軍が完全撤収してもアフガン政府の支配は簡単に崩れないという内容でした。ところがイスラム組織タリバンは短時間で首都カブールを制圧し、政府は崩壊した。(撤収に気持ちが傾いているため)バイデンは完全読み間違えた。大きなミステイクでした。
 もう一つは計画が不十分のまま見切り発車した。滞在する米国人や米国に協力したアフガン人などもっと早い段階から出国させるべきでした。準備不足のせいで多くの民間人を巻き込むカオス状態にしてしまった」
 10年の米軍増派のとき、アフガンで4カ月間取材活動をしたデビットさんに協力したアフガン人は、ノルウェーに脱出した。デビットさんに同国ではアフガン難民は厳しい状況に置かれていると近況を伝えた彼は「14年にアフガンからの米軍撤収を当時のオバマ大統領が言い出したとき、実行されたらアフガンは内戦状態になりタリバンが実権を握ると思った。予想通りの事態になっている」と告げた。

 アフガンをカオス化させたバイデン大統領はピンチに立たされている。
 「アフガン失態にコロナのデルタ株感染急拡大が加わり、不支持が支持を上回っている。『これはいい材料だ』と思ったトランプはバイデン批判を一層強めている。『俺ならうまく乗り切れる』と盛んにPRしている。来年11月の中間選挙を見据えて落ち気味だった勢力を再び拡大させようと目論んでいる」(デビットさん)
 バイデン大統領はいつも上着の右ポケットには、イラクとアフガンで戦死した米兵のリストを入れている。先だってIS系勢力による自爆テロで犠牲になった米兵13人の名前がこのリストに加えられたことだろう。
橋詰雅博
posted by JCJ at 01:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする