2021年11月21日

【今週の風考計】11.21─「ヤマサクラ81」と「オリエント・シールド21」

◆季節外れだが、優しい名前のつく「ヤマサクラ81」が始まる。実はこれ、過去最大規模の日米共同軍事演習の別称なのだ。兵庫県伊丹市の陸上自衛隊・伊丹駐屯地に、臨時に大規模な施設を設置し、12月中旬まで行われる。
 在日米陸軍のシンボルである富士山の「山」と、陸上自衛隊のシンボルである「桜」を合わせて付けたもので、1982年から始まり、年2回、実施されている。
◆すでに今年は2月7日から15日まで、熊本市にある陸上自衛隊の健軍駐屯地で、離島防衛をテーマに「ヤマサクラ」図上演習が実施されている。陸自から約4千人、米側から約千人が参加した。

◆「ヤマサクラ」は、実践的な<戦争ゲーム>を通して、現場の指揮官クラスの状況判断や指揮の力量を向上させ、司令官レベルでの自衛隊・米軍の統合的指揮・統制力を高めることを狙いとした大規模な軍事演習だ。
◆伊丹駐屯地で始まる「ヤマサクラ81」は、陸自の各方面隊と米陸軍の司令部が、対中国を視野に、日本を拠点とする軍事戦略を日米共同して練り上げる。
 10月4日の米英3空母も参加した台湾周辺での6カ国演習に続き、30年ぶりの全陸自部隊が参加する史上最大の演習になる。
◆すでに伊丹駐屯地では、「指揮所に使用する建物と配電設備の建築・レンタル・解体業者を、東京・横田基地の米空軍第374契約中隊が募集。大阪府内の建設業者が9月21日に約1億6700万円で受注」(赤旗11/5付け)と、報じられている。

◆さらに北海道では、陸上自衛隊・矢臼別演習場など5カ所で、初めて米軍オスプレイとの日米共同軍事訓練が、12月5日から17日まで行われる。とりわけ酪農家たちの間では、オスプレイの騒音で乳牛がパニックに陥るのではないかと、不安が広がっている。
 それも当然、6月末には矢臼別演習場で、米陸軍と共同して国内初のロケット砲・実射戦闘訓練「オリエント・シールド21」が行われ、その砲声にびっくりしたばかりだ。
◆「オリエント・シールド21」なるもの、<東洋の盾>とのことだが、これまた陸上自衛隊と米陸軍が共同で実施する、対中国を視野に入れた戦争実動訓練の別称だ。今年は6月18日〜7月11日の期間、奄美駐屯地、伊丹駐屯地、矢臼別演習場など、7カ所で実施された。
 奄美駐屯地では、米陸軍ペトリオット部隊が奄美大島に初展開し、陸上自衛隊の中距離地対空ミサイルを活用しての共同対空戦闘訓練に取り組んだ。陸自から約1400人、米軍から約1600人、合わせて約3000人が参加。

◆政府は「沖縄の基地負担の軽減」を理由に、これら本土各地での日米共同演習を正当化している。しかし実態は、まさに北海道から奄美・沖縄まで日本列島を覆う、日米共同軍事ネットワークを完成させ、日本全体を日米共同管理の軍事基地化へ地ならしをしているのだ。
◆いわゆる「沖縄の基地を本土に引き取る」論があるが、その是非以前に、本土そのものが沖縄化している実態は、見過ごすわけにはいかない。(2011/11/21)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする