2021年11月27日

【焦点】五輪選手村訴訟 12月23日に東京地裁で判決 官製談合の是非に注目=橋詰雅博

                            
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都有地の東京五輪選手村用地を晴海の周辺地価と比べ10分の1以下の約130億円で大手デベロッパー11社に売却したのは違法だとして都民33人が都に対し、損害賠償約1500億円を小池百合子都知事らに請求するよう求めた裁判は、12月23日(木)午後3時、東京地裁103号法廷で判決が言い渡される。
 筆者は4年前の第1回口頭弁論前に原告代理人の淵脇みどり弁護士にインタビューし、JCJ機関紙2017年10月25日号に記事を掲載した(写真下)。そして裁判の傍聴を続けてきた。
 この住民訴訟の問題の核心は東京都が「一人三役」の役割を務めたこと。どういうことかと言えば、地権者と個人施行者、許認可業者の3つを都が併せ持つという異様な構図をつくったのだ。都都市整備局によると、自治体が個人の地権者として個人施行の再開発事業を行った事例は5件あるが、都のような「一人三役」のケースはない。
 通常の都市計画事業という形態ならば、公聴会・縦覧・意見書の提出に加えて都市計画審議会での議決という一連の手続きが必要。また都議会や財産価格審議会にも諮らなければならい。「一人三役」はこうした面倒なことを省くことができる。実質、直接売買を可能にしたのだ。
 なぜ都はこうしたカラクリを編み出したのか。それは選手村を建てる大手デベロッパーに破格の安さで土地を売却するためだ。デベロッパーは五輪終了後に選手村建物を活用して手直し、新築マンションとして販売するので、入手する土地は安ければ安いほどいい。一方、晴海という好立地の物件ならば、高く売れる。利幅が大きくなる。
 都とデベロッパーはこの五輪村用地の売却を巡り数年前から協議を重ねてきた。こうした官民の癒着の「官製談合」によって土地のたたき売りを実現させた。カラクリはそれをスムーズに運ぶための方法だった。ちなみにデベロッパー11社のうち7社に都幹部職員12人が天下りしている。
 もしも正常な価格で売却していたら、裁判もなく財政面でプラスになり納税者への公共サービス向上につながったのではないか。
 橋詰雅博
                       
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posted by JCJ at 01:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする