■日の暮れるのが早い。所用で出かけた帰り道、寒風が吹く冬の夜空を見上げれば、オリオン座がひときわ明るく目に入る。
その巨人オリオンのベルトあたりに並ぶ三ツ星を軸に、肩のあたりにベテルギウス、左足にはリゲルが輝く。そのベテルギウスとおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んだ「冬の大三角」が、大きく頭上を覆う。
■オリオン座流星群が、東の空を飛び交ったのは10月22日〜23日。ハレー彗星が軌道上でまき散らしたチリの帯に、地球が近づいたため、そのチリが地球の上空100km前後で発光して、オリオン座流星群となる。早いもので、もう1カ月になる。
■足を止めて、よくよくオリオン座を見ると、巨人オリオンのベルトあたりに並ぶ三つ星のすぐ南に、小さくタテに3つ並ぶ星列がある。そのあたりがモヤモヤした雲みたいなベールがかかっている。いつも気なっていた。
改めて調べてみると、この星列を「小三ツ星」というそうだ。しかも真ん中のものは星ではなく、鳥が翼を広げたような形の「オリオン座大星雲」と呼ばれ、全体が淡いピンク色をおび、天体望遠鏡で見れば目のさめるような美しさだという。地球からおよそ1500光年先にある。
■「オリオン座大星雲」のすぐ隣に、いま注目されている「ランニングマン星雲」があると分かった。星雲の暗い部分の形が、走る人物の姿にも見えることから名づけられている。
この「ランニングマン」の姿は、電離した水素原子が発する赤い輝きによって描き出され、その周辺は青っぽい恒星の光を反射するガスに覆われているそうだ。
■だが「ランニングマン星雲」は、まだまだ解明されていない問題が多い。
先日、米航空宇宙局(NASA)が、「ランニングマン星雲」から、高温のガスを噴き出しながら、周囲にあるガスと塵の雲に秒速数百kmもの速度で衝突し、明るい衝撃波を生み出す様子をとらえた画像を公開した。
■視野全体に漂う雲の中央付近から右上と左下に向かって、間欠的に噴き出すジェットのような構造が写っている。これが生まれて間もない若い“ハービッグ・ハロー天体”だといわれる。
天文学には知識のない筆者にとっては、星や天体の生まれる経緯が、この映像などを通して、さらに解明されていくことを願うばかりだ。
■肉眼で見える「オリオン座」に戻ろう。今日28日の夜明け前、年内最後の「オリオン座流星群」が見られたのだが、寝坊の筆者には無理。
残されるのは「ふたご座流星群」。「オリオン座」の左に、同じ明るさの星カストルとポルックスが2つ並んでいる。それが「ふたご座」。12月14日ごろを中心に夜半過ぎまで、月から離れた方向を広く見渡せば、たくさんの流れ星が飛ぶという。(2021/11/28)