2021年12月19日

【今週の風考計】12.19─「森友公文書改ざん」裁判に対する卑劣な仕打ち

森友公文書改ざん問題で自死に追い込まれた赤木俊夫さんの国家賠償請求訴訟で、国は急に「認諾」へと舵を切り、1億700万円の賠償金を支払うことで真相究明にフタをした。
 この訴訟裁判は、公文書改ざんの真相を解明するためで、賠償金を目的にしたものではない。1億円以上という高額請求にしたのも、国が裁判での審議を避け「認諾」へ逃げようとするのを防ぐためだった。
妻の赤木雅子さんは、「ふざけるなと思いました。夫は国に殺されて、また何度となく殺されてきましたけど、きょうもまた打ちのめされてしまいました」
 「お金を払えば済む問題じゃないです。私は夫がなぜ死んだのか、何で死ななければならないのか知りたい。そのための裁判でしたので、ふざけんなって思います」と、怒りの声を挙げている。

はっきり言って岸田政権は、安倍晋三・元首相と妻が絡んだ森友問題の「不都合な事実」が暴露されるのを恐れ、「真相」を闇に葬り、安倍夫妻を守ったことに他ならない。こんな卑劣なやり方が、許されていいのか。
 しかも賠償金というが、安倍元首相のみならず、関係した閣僚や官僚は一銭も払わず、1億を超える金額は国民の税金で支払うのだから、開いた口がふさがらない。
 「赤木ファイル」の開示や第三者による再調査は拒否され、いまだに安倍元首相は、改ざんへ至った責任についてはシラを切り、赤木俊夫さん・雅子さんの人権を冒涜し続けてきている。 
だが諦めてはならない。国賠訴訟は終わっても、まだ佐川元理財局長との裁判が残っている。国会も真相解明に力を尽くせ。ましてや野党は、安倍政権時代の「公文書改ざん」を徹底追及し、「第三者による再調査」の実現にむけて全力を挙げるべきだ。

さらに国土交通省が、国の基幹統計の一つである「建設工事受注動態統計」のデータを書き換え、二重計上していた不正問題も、GDPの数値につながる重要統計だけに極めて深刻だ。
 第2次安倍政権下の2013年以降、国交省の官僚自らがデータを改ざん、さらに数値を二重計上までするという、トンデモナイ不正を今年3月まで8年間も続けていたというから驚きだ。
 これも「アベノミクス」の成果を誇るため、GDPを大幅にかさ上げさせる改ざん、すなわち“アベノミクス偽装”ではないかと言われている。

約8年の安倍政権下で繰り広げられた政治の「闇」は深い。<桜を見る会>参加者名簿の廃棄、自衛隊イラク派遣の日程改ざん、2018年末の厚労省「勤労統計」データ偽装など、続発した。
 ここへきて国交省の「建設工事受注統計」データの改ざんまで加わった。さらに国会での<桜を見る会>虚偽答弁は118回にも及び、野党の要求にも関わらず国会を開かす、予算委員会を開けばヤジで応酬するなど、政治の私物化は極まった。
その背景には、<なんでも官邸団>と揶揄されるほど、「一強政治」「官邸支配」がはびこり、安倍元首相への忖度あるいは「アベノミクス」への迎合・配慮が、各省官庁内に陰に陽に働いていたからではないか。
 再度言いたい。野党は「提案型」などと言っている場合ではない。国会で厳しく「真相」を追究し、「迎合・忖度政治」を廃絶しなければダメだ。(2021/12/19)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする