2021年12月31日

【2021年スポーツ回顧1】日本の特徴=大野晃

多くの国民が反対する中で1年延期の東京五輪パラリンピックを強行開催

◎東京都、北海道、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、静岡県、宮城県、福島県の1都1道7県の42競技会場で大幅な広域開催となった。
◎東京五輪パラリンピックの大会経費が招致時の約2倍の1兆 4530億円の見通しになったと2021年12月22日に組織委員会が発表した。組織委が6343億円、東京都が6248億円、国が1939億円を負担する。
◎会計検査院の試算では、2013年度から17年度に国の関連支出が8011億円に上ったとし、都以外の自治体の開催費用などを含めると、2020年までに全体支出は3兆円規模に膨らむ可能性が高いとした。
◎聖火リレーは、全国で約4割の20都道府が一部の中止を決めたほか、実施しても、公道を使用せず、引き継ぎ式だけがほとんどだった。
◎日本国内での各国選手団の事前合宿も相次いで中止された。
◎新型コロナウイルス感染症の感染者数は、日本全国で大会中に、1日1万5000人を超え、大会終了後は2万5000人を超える感染爆発をもたらした。

日本選手団はメダルラッシュも競技拡大なし

◎日本選手団(1060人で選手583人=男子は306人、女子は277人で全体の約47.5%、役員477人)の選手数は、夏季大会史上最多だった。全競技に出場し、金メダル30個獲得が目標だった。獲得メダル総数は、58(金27、銀14、銅17)で史上最多だった。
女子30も史上最多だった。メダル獲得率は、5・70%で1964年東京大会の5.93%に次ぐ史上2位だった。
◎金メダル獲得は、女子が14、男子が12、混合1だが、7競技と新3競技の10競技に限られ、御四家と言われる柔道9、レスリング5、水泳2、体操2に集中し、従来と変わらず、新競技のスケートボード3、野球・ソフトボール2、空手1が押し上げた。
◎新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、世界の競技環境が 劣悪化した中でも、大きな地元の利は見られず、強化の偏向が顕著になった。

意思表明しないJOCに不信が広がる
◎山下泰裕会長が2期目に再任されたJOCは、開催反対の声が高まった東京五輪に対し、五輪代表の意見集約をせず、意思表明をしないまま参加した。さらに十分な総括もせず、その主体性に不信の声が広がった。
◎北京冬季五輪に対しても、沈黙のJOCは変わらず、国民と競技者の溝は、深まるばかりだった。 

プロ野球でヤクルトが20年ぶり日本一
◎延長戦なしで行われたプロ野球は、セ・リーグでヤクルトが、2 年連続最下位から、6年ぶり8回目の優勝を飾った。2015年に2年連続最下位から優勝した時と同様の下克上優勝だった。パ・リーグもオリックスが、2年連続最下位から、25年ぶり13回目の優勝を成しとげた。中嶋聡監督が就任1年目の快挙で、両リーグの前年最下位がともに優勝するのは初めてだった。
◎日本シリーズは、ヤクルトがオリックスを4勝2敗で降し、20年 ぶり6回目の日本一となった。
◎セ、パ両リーグの観客数は、前年より6割増しとなったが、201 9年の3分の1程度にとどまった。

大横綱・白鵬が引退し照ノ富士の一人横綱に
◎大相撲で歴代最多45回の幕内優勝を誇った横綱・白鵬が秋場所後に引退した。モンゴル出身で2007年夏場所後に横綱に昇進し、15年間にわたり、野球賭博問題や八百長問題、東日本大震災など大揺れの大相撲を、一人横綱などで引っ張ったが、横綱審議会などから苦言を呈されることもあった。
◎日本相撲協会は9月30日に元横綱・白鵬の引退と年寄「間垣」の襲名を、新人親方の誓約をさせた上で認める異例の手続きを踏んだ。
◎白鵬に先立って、横綱・鶴竜が引退し、白鵬の休場で横綱不在の場所が多かったが、モンゴル出身の後輩の新横綱・照ノ富士が秋場所で優勝し、一人横綱でリードすることになった。
◎大相撲春場所で、三段目力士・響龍が投げを受けた際に頭部から俵付近に落ち負傷し、1カ月の入院の末、急性呼吸不全で亡くなった。
◎力士の新型コロナウイルス感染症の感染で、宮城野部屋の全力士が休場するなど、休場が多かった。

Jリーグは川崎が2連覇
◎サッカーJリーグJ1は、観客制限で、川崎が、2年連続4度目のリーグ優勝を決めた。
◎Jリーグの多くのクラブで赤字や債務超過が進み、経営難が深 刻になった。

大学の競技会や甲子園の高校野球再開
◎大学の競技会は、無観客や観客制限で再開され、夏の甲子園全国高校野球も観客制限で再開された。
◎高校野球大会では、延長戦のタイブレーク方式が採用され、投手の1週間500球以内の投球数制限が実施された。
◎再開された全国高校総合体育大会に、8競技15校が出場を 辞退した。 

国体の中止が続き、ねんりんピックも中止に
◎三重県で開催予定だった国民体育大会と全国障害者スポーツ大会が中止された。国体中止は2年連続、障害者スポーツ大会の中止は3年連続。
◎新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、「ねんりんピック(全国健康福祉祭)」が初めて中止された。

子どもの体力低下が顕著に
◎スポーツ庁が、小中学生を対象とする2021年度の全国体力テスト結果で、男子小中学生の体力合計点が2008年度の調査開始以来最低を更新したと発表した。小学校の男女と中学校の男子は肥満の割合が過去最高となった。
◎新型コロナウイルス感染症の感染拡大による一斉休校や学校での活動制限などが深刻な影響を与えているとみられた。
◎スポーツ庁はじめ、日本スポーツ協会、そしてJOCも、対策を 示さず、一般国民の運動不足解消の対応も鈍かった。

10eスポーツ人気が高まる
◎対戦型ゲームで勝敗を競う「eスポーツ」に企業、学校、自治体が群がり、人気利用に動き出した。

スポーツ・マスメディアの問題点
1、東京五輪パラリンピックの異常開催を、無観客を条件に容認し、政治利用の批判を回避した。
2、東京五輪パラリンピックのメダルラッシュには無批判に大騒ぎした。
3、東京五輪パラリンピックの異常開催に動揺する競技者が少なくなかったが、五輪代表の社会的使命を問わなかった。
4、五輪の抱える問題に対し、IOCへの揶揄はあっても、掘り下げることがなかった。
5、東京五輪パラリンピックの異常開催に沈黙したJOCへの批判が姿を消し、スポーツ庁批判は皆無だった。
6、プロ野球や大相撲の時代変化に敏感に対応できなかった。
7、感染拡大防止策による取材制限もあって、競技の内容分析を欠いた。
8、外出自粛などで制限された草の根スポーツへの関心を失った。
9、スポーツ離れの国民意識の変化に鈍感だった。
10、スポーツの力を強調しながら、人間的価値の探究を怠った。
  大野晃
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする