2022年03月29日

【映画の鏡】3・11後の生活の変化を追う『発行する民』 コロナ禍で希望語りなおす=鈴木賀津彦

  古都・鎌倉で2011年、「脱原発パレード」で街を歩いた女性たちが結成した「イマジン盆踊り部」に7年間密着したドキュメンタリー。お酒や味噌、パンづくりから生まれた「発酵盆唄」など唄と踊りが人びとをつなげてゆく。3・11 後の暮らしを「発酵」という視点から追っていく。
 平野隆章監督の個人制作で昨年7月に公開された後、評判が口コミでジワリと広がり、今年は全国各地の劇場での拡大上映が決まっている。この広がりを平野監督はこう語る。
 「コロナ禍の今が、原発事故後の先の見通せない状況と似ているという感想をいただくことが増えてきた。社会に不安定なムードが漂う中、鎌倉の人々が今までを振り返り、新しいものをつくりだし、人と出会い日常を積み重ねていく姿を映画は描いた。腐敗の対義語である発酵の世界にも着目、人間を中心に置き過ぎない世界を模索している。現在とリンクして観客に届き、広がっています」。
 そして、こう強調した。「原発再稼働反対の声が広がり、国会前に多くの人が集まった。多くの人がより良い未来へ向かいたいと思った。自分もその一人。国会前のデモ参加者数が減るに連れ、メディアもどこか市民運動がしぼんだような報道が多くなった。ドキュメンタリー制作を続けたのは、それが悔しかったから。人々の間に生まれた、よい方向に向かいたいという気持ちは、きっと今も続いている。その時つくりだしたものが、コロナ禍に希望のようなものを届けている」と。
 「地球歴」での生活を説明する場面もあり、ここにもぜひ着目してほしい。
 鈴木賀津彦
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年2月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする