2019年の参院選をめぐる大規模買収事件で、河井克行元法相=実刑確定=や妻の案里元参院議員=有罪確定=から現金を受け取り、検察審査会が「起訴相当」と議決した広島県議ら被買収議員35人への東京地検特捜部の再捜査の結論が近々にも発表されようとしている。県議、市議ら7人が相次いで辞職する中、欠員に伴う補欠選挙も始まろうとしている。
この事態を受けてJCJ広島支部は、「広島の金権政治」をテーマにオンラインによる放談会を3月2日に開いた。会員や市民ら19人が参加し、約90分間にわたり意見を交換した。
冒頭に支部から、このたびの事件であまり問題化されていないともいえる事柄4点を、「話題提供」として紹介した。
長年にわたり県政界に「ドン」として君臨した元県議会議長らのグループが家宅捜査や聴取を繰り返し受けながらも摘発を逃れた▼19年の広島選挙区選挙では、自民党2人目の公認候補で落選した溝手顕正陣営も、地方議員にカネを振り込んだり振り込もうとしたりした▼05年の広島県知事選後、当時の知事後援会事務局長が政治資金収支報告書虚偽記載で逮捕された事件では、自民党は4年に1度の知事選でも県議らにカネを配ってきたことが明るみになった▼1979年に表面化した県庁ぐるみのカラ出張事件では、億単位の不正経理によって生み出されたカネが、知事の選挙資金として上納された疑いがある、という4点。
意見交換では、広島における公職選挙で自民党は、小学区単位につくった社会福祉協議会なるものを通して民生委員ら福祉関係者を巻き込んだ「支配の仕組み」をつくりあげている▼この構図の中でゆがんだ政治資金が組織を活性化する「潤滑油」のように使われていないか、などの情報提供や指摘もあった。
広島で市民は河井事件の先に、政治や選挙に関するどんな目標を掲げて活動すべきだろうか、という点も議論された。
オンラインによる放談会は今回、支部として初の試み。今後、さまざまな地域の課題をテーマに選び、「その問題の専門家」を招いた「オンライン記者会見」をやってみようか、と話し合っている。
難波健治
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年3月25日号