2022年07月15日

【出版界の動き】本の用紙代が高騰し、悲鳴をあげる出版社=出版部会

●5月の出版物販売金額734億円(前年比5.3%減)。書籍407億円(同3.1%減)、雑誌327億円(同7.9%減)。月刊誌268億円(同7.4%減)、週刊誌58億円(同10.2%減)。返品率は書籍38.8%、雑誌は45.4%、月刊誌45.8%、週刊誌43.2%。

●物価高騰のあおりで本の用紙代も値上がり。原価上昇分をどの程度価格に反映させるのか、悩みは尽きない。それでも新刊は販価に反映させて解決できるが、悩ましいのは既刊書の増刷の際、値上げしたくても値上げできない事情がある。
 まず定価を上げればカバーにある定価表示を変えねばらない。新しくカバーを印刷しなければならぬ。その印刷費がばかにならない。こういうジレンマに陥るのだ。
 一方、電子書籍は用紙代がない分、価格への影響はない。まず増刷は電子書籍からということになる。また市場で本が品切れ状態だと国会図書館に判定されれば、3カ月以内に品切れを解消しなくてはならない。この対策にも頭が痛い。

●中国発の漫画作品が日本のコミック市場に本格参入。2003年5月に日本で初めて立ち上げた漫画配信アプリ「ブックライブ fun」は、中国の漫画プラットフォーム「快看(クワイカン)」と独占契約し、縦スクロールの“縦読み”でフルカラーの作品を、日本語に翻訳し、キャラクターや設定を日本向けに調整。きわめて好調だという。
 特にいまの若いユーザーは、作品自体の面白さで判断しているので、どこの国の作品でも受け入れる。

●学研プラスが提供する小中学校向けサービス「学研スクールライブラリー」にある1,300タイトル以上の電子書籍を、アイドックの「bookend(ブックエンド)」読み放題サービスを使い、こども向け電子図書館サービスの提供を開始する。

●4年後に140周年を迎える河出書房新社が新雑誌創刊・書店マージン30%企画を発表した。9月27日に全16号の季刊誌「スピン/spin」を創刊。表紙には毎号異なる紙を使い紙にまつわる連載も行う。小説やコラムなどを掲載し、出版の未来を考える媒体として発行する。
 またマージン30%への挑戦企画として、復刊する『世界探検全集』(全16巻)と、『怪異の民俗学 新装復刻版』(全8巻)のいずれかで全巻予約をとった書店に、セット本体価格の8%を支払う「復刊チャレンジ88」を実施する。

●受験勉強のために、思春期に本(コミックを除く)を読まない日本の中高生。「青少年の体験活動等に関する意識調査」に、1カ月に読む本の数について、学年別の数値が出ている。「ほとんど読まない」の割合が、小4では18.5%に対し中2では29.5%、高2では58.8%に跳ね上がる。中学生の3割、高校生の6割が本を読んでいない。<夏の名作読書>企画を進める出版社も嘆くばかり。
出版部会
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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