2022年09月12日
【沖縄リポート】敗けるわけにはいかない県知事選=浦島悦子
8月2日のペロシ米下院議長の訪台と、それに対抗する中国軍の「台湾封鎖」と称する空・海の軍事演習で、沖縄のきな臭さが一挙に強まった。
嘉手納基地周辺では、次々と飛び立つ戦闘機、電子偵察機、空中給油機などの騒音激化が住民の生活を脅かした。台湾を包囲する中国の軍事演習場は与那国漁民の漁場から約50キロ。4日には波照間島や与那国島近海に中国軍のミサイルが落下し、漁民らは一時操業自粛を余儀なくされた。玉城デニー知事は「県民が巻き込まれることのないよう」冷静な外交を求めた。
平和な島を求める県民の願いとますます逆行していく状況の中で、沖縄県知事選が迫っている(8月25日告示、9月11日投開票)。各市町村では議員とのダブル、首長選を含むトリプル選挙も多い。
今回知事選の最大の争点はやはり辺野古新基地建設問題だ。戦争の危機が迫る中で巨大な米軍新基地を造ることが、どんな未来を引き寄せるのかを県民にしっかり訴えていきたいと思う。
県知事選には、現在までに現職デニー知事を含め3人が立候補を表明している。前回知事選で敗れた自民党公認の佐喜眞淳氏は今回、新基地容認を明確にした。前回も立候補が取り沙汰され、自民党との調整で取り下げた下地幹郎氏が今回敢えて立候補したのは、参議院沖縄選挙区での敗北に危機感を持った自民党との裏取引があるのではないかと私は勘ぐっている。
25年以上も翻弄されてきた新基地問題に県民が疲れているのは否定できない。反対しても埋め立てが止まらない現実に「あきらめ」感を持つ人も増えている。「辺野古を終わらせる」「軟弱地盤は埋め立てさせない。既に埋め立てられた場所や馬毛島を活用する」という下地氏の主張(実際には実現困難だが)に活路を見出す人もいるだろう。そうして、これまでの辺野古反対世論を分断=デニー票を減らし、結果的に佐喜眞氏(旧統一教会との関係も明らかになった)勝利を目論んでいるのではないか? 敗けるわけにはいかない‼
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年8月25日号
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