2022年09月19日

【おすすめ本】布施祐仁『日米同盟・最後のリスク なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』─対中ミサイル網が誘発する危機=吉田敏浩(ジャーナリスト)

 台湾をめぐり米中対立が緊張の度を増すなか、日本政府は対米追随で日米同盟強化の一点張り。だが、それは台湾有事への米軍の軍事介入と連動して、日本が戦火にさらされ、最悪の場合、核戦争の戦場とも化す巨大なリスクを孕んでいる。
 著者は情報公開制度を駆使して外務省内部文書を分析し、安全保障専門家にも取材、かつ自衛隊ミサイル部隊が置かれた奄美・沖縄を踏査した結果、警鐘を鳴らす。
 著者が強調するのは、水面下で進む米軍の新型中距離ミサイルの日本配備計画の危険性である。中国を睨んで配備されるこのミサイルは、核弾頭も搭載可能だ。当然、中国は警戒心を強め、核弾頭つきミサイルの照準を日本に合わせてくる。

 日本も中国本土を射程に収める自衛隊の中距離ミサイルを開発中だ。米軍と自衛隊は対中国ミサイル網を日本列島に築こうとしている。
 それは東アジアでの軍拡競争を激化させる。日米両政府は抑止力の向上を叫ぶが、軍拡一辺倒では逆に戦争を誘発するリスクが高まるばかりだ。戦場となって被害を受けるのは日本で、米国まで戦火が及ぶ事態は想定されていない。日本は米国の世界戦略の捨て駒とも位置づけられている。
 日本は軍拡一辺倒ではなく、紛争の平和的解決を原則とするASEAN(東南アジア諸国連合)を手本に、米中間の緊張緩和と信頼醸成に向けた仲介外交を実践し、東アジアで覇権なき地域安全保障機構づくりに外交努力すべきだ。そう著者は訴える。刮目すべき警世の書である。(創元社1500円)
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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