JCJは7月16日から7回シリーズで学生向けに「夏のジャーナリスト講座」を開いている。最初の3回分をまとめた。
米軍基地は生活の
場と隣り合わせ
▼明真南斗・琉球新報記者(7月16日) 沖縄には31の米軍専用施設があり、総面積では県内の8%を占め、生活の場と隣り合わせだ。沖縄に7割が集中する米軍基地は日本の安全保障を語る以前に、身近な暮らしの問題である。
宜野湾市にある普天間飛行場そばの普天間第二小で体育の授業中、米軍ヘリの窓が落下し、奇跡的に被害はなかった。学校の抗議に対し、沖縄防衛局は体育場に防護用の屋根を設置した。ヘリや飛行機が通過するたびに児童が屋根の下に逃げる日常光景はおかしい。
いま防衛省を担当しているが、全国紙の記者は沖縄の民家で銃弾が見つかっても被害がないなら問題にもしない。地元支局の記者のやるべきことで、自分らには関係がないといった印象だ。
航空機の泡消火剤問題では、発がん性の有機フッ素化合物PFOSなどの血中濃度が高いことが宜野湾市民を対象にした京都大の調査で判明し、健康問題でもある。沖縄戦などの歴史問題も含め、基地集中の不条理を指摘し、弱者に寄り添って報道し、伝えていくことが地元紙記者の使命と考えている。
聞き取りを重ねて
励まされ連載執筆
▼河原千春・信濃毎日新聞文化部記者(同24日) 長野県佐久市出身の女性史研究家、もろさわようこさん(97)の生き方を書いた『志縁のおんな もろさわようことわたしたち』(一葉社)を昨年末に出版した。もろさわさんが佐久市に作った「歴史を拓(ひら)くはじめの家」を2013年に取材したのをきっかけに聞き取りを重ね、その言葉に自分が励まされたことから、19年には連載記事「夢に翔(と)ぶ――もろさわようこ94歳の青春」を執筆した。
代表作『おんなの戦後史』などを著した女性史研究の先駆者で、フェミニズムにも多大な影響を与えてきたもろさわさんは、長野、沖縄、高知に拠点をつくって生活の場を移しながら、女性や部落問題、沖縄などでの差別に目を向けて行動している。
「人の取材をしたくて地方新聞社への就職を選んだ」という河原さんは、受講者の質問に、「スペシャリストよりもジェネラリストになる」ことをテーマに、舞台演出家の串田和美さんを取材すべく準備を進めていることなどを紹介、文化部記者の仕事ぶりを具体的に話した。
事故か 自殺か
スマホの落とし穴
▼小松玲葉・TBS報道局社会部記者(同30日) 入社して4年目、現在は警視庁記者クラブで仕事をしている。新人の時は、房総半島を襲った台風の被災地を取材。自宅2階を吹き飛ばされた小谷登志江さんの姿を追いかけ、ドキュメント「それでも、ここにいたい〜3度の台風に遭って」をつくった。
警察取材では鉄道駅での自殺、転落事故のニュースが多い。警察の広報文を読み「何かおかしくない?」という疑問を大事にしている。その一つが21年1月に東京の東武東上線・東武練馬駅で起きた踏切事故だ。31歳の女性が遮断機が下りた踏切内で立ったままスマホを見ていて、電車にはねられ死亡した。
警察は事故か自殺かわらないと発表していた。当時の記録映像から、警報音が鳴る中、女性はスマホを見ていて、踏切外にいた10人近くもみなスマホに目を落としていた。「危ない」と声をかける人もいない。これは自殺ではなく、女性は踏切の外にいると勘違いしていたのではないか。現場を踏査し、報じた。スマホ時代の落とし穴として大きな反響があった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年8月25日号
2022年09月26日
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