2022年09月30日

【焦点】五輪選手村訴訟原告団、総会開く、92%減額を控訴審で訴える=橋詰雅博

                             
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 五輪選手村用地を破格の安値で売却したのは違法だとして、周辺価格との差額約1200億円を小池百合子都知事らに請求するよう都に求める訴訟を起こした晴海選手村投げ売りを正す会は、9月27日に豊洲で第5回総会=写真上=を開いた。
 一審で敗訴した原告団は、「不当判決」と昨年12月に控訴した。総会は10月11日(火)午後1時40分に東京高裁101号法廷で開かれる第1回控訴審に向け意思統一を図るのが目的だった。

 裁判の最大の焦点は都有地の売却価格が適正かどうかだ。都内一等地をデベロッパー11社に129億6000万円で売ったのは選手村要因などを考慮すると「適正」と東京地裁は認めた。しかし、この価格がいかに異常かを検証してみる。ちなみに選手村要因とは@道路などのインフラ整備の完了Aデベロッパーが施設建築物を建設、取得した上で、土地を譲り受けるB施設建築物の一部を五輪大会期間中に選手用宿泊施設などとして使用し、大会終了後に改修の上、分譲または賃貸する―などだ。
 五輪終了後、選手村用地に5632戸の住宅が建てられる。これに伴い新たに学校などの整備が必要になるので、中央区は晴海4丁目と5丁目の都有地を合計3・14f購入することになった。昨年6月財産価格審議会が開かれ、中央区への売却と、土地価格および公共施設に認められる減額を決定した。都は近隣路線価から1u当たり106万(4丁目)、120万(5丁目)とし、売却価格を155億、199億と評価(写真下)。公共減額50%と設定し、減額後の譲渡額を77億5000万、99億5000万と決めた。

原告側の桐蔭横浜大学法学部客員教授、田原拓治不動産鑑定士は、財産価格審議会の土地鑑定は「まとも」と評価した。さらにこう続けた。
「1u当たり120万の5丁目の土地は選手村の真ん中にある。この価格でデベロッパーに譲渡した13・39fの土地価格を算出すると、1607億になる。1607億の土地をいくら選手村要因だと被告の都側が強弁しても正常価格(市場価格)の8%が妥当であるはずがない。選手村の五輪仕様の内装も諸設備の建設、その撤去も都が445億円以上も拠出。選手村とは関係ない超高層分譲マンション2棟の建設も開発事業に含まれている。実態はデベロッパーによる営利を目的にした分譲・賃貸マンションです」
選手村要因を考慮しても、92%減額はひどいというのだ。
田原不動産鑑定士のこの意見書はすでに裁判所に提出している。
 橋詰雅博
                               
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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