パンダが日本に来た日
●日中国交正常化を記念して、中国からパンダ2頭が日本へ寄贈されたのが、1972年10月28日。当時、田中角栄と周恩来の両首相による演出もあり、パンダフィーバーが起きた。パンダ来日─「あれから50年」。
その後、1984年にはケ小平がパンダを贈与する方針から貸与へと切り替え、貸与期間も10年から2年へと短縮。1頭につき年間50万ドル(約8千万円)のレンタル料を支払うこととなった。
●現在、日本ではパンダ13頭が3つの場所で飼育されている。上野動物園5頭、和歌山県ワールドベンチャー7頭、神戸市立王子動物園1頭。パンダへの人気は衰えず集客力は抜群だが、13頭の年間レンタル料は計算してみれば約10億円に上る。
飼料の竹の準備や病気予防など、飼育員の苦労は計り知れない。生まれたパンダも所有権は中国にあり、もし死亡でもすれば50万ドルの罰金を支払い、遺体も中国に返還しなければならない。
これらを計算に入れれば中国の<パンダ外交>は、成果並々ならぬものがある。
習近平氏の強権的手法
●さて中国共産党の第20回党大会が22日閉幕した。習近平党総書記(国家主席)が3期目も続投する。しかも憲法で定めた2期10年の制限を撤廃して就いただけに、「終身国家主席」への道を拓いた意味は極めて重い。
毛沢東の文化大革命が起こした悲劇を教訓として、個人崇拝を厳しく戒めているにもかかわらず、自らに忠誠心の高い側近たちで固め、中国独自の発展モデル「中国式現代化」による社会主義「強国」の建設に邁進する。
●しかし習近平氏の強権的手法では、長年にわたって未解決の国内問題、すなわち新疆ウイグルとチベット両自治区や香港の人権問題は、解決が遠のくばかり。
国外に向けても、その強権的手法はとどまるところを知らない。「台湾への軍事的威嚇」をはじめ、東・南シナ海への海洋進出など、米国や東南アジア諸国から指弾の声が挙がる。 ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の態度もまた、国際的な批判を呼び起こしている。
日中首脳会議を開け
●いま中国は新型コロナの封じ込めに躍起の「ゼロコロナ」政策に加え、不動産不況が長期化し景気停滞が長引いている。中国政府が3月に掲げた成長目標「5・5%前後」の達成は困難であるのが確実となり、党大会開催中にGDPの発表をやめたのは、あまりにも「不都合な数字」が浮上してきたためだ。
現に7〜9月期の成長率の市場予測は3・5%前後、年間成長率も3%台にとどまるのは避けられない状況に陥っている。
●今年は日中国交回復50年。ところがここ数年、日中間の対話は滞ったまま。日中両国とも武力を背景にした威嚇の外交ではなく、もう一度「パンダ外交」の精神をよみがえらせ、早期に首脳間の対話を再開し、意思疎通を図らねばならぬ。(2022/10/23)
2022年10月23日
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