2022年11月08日

【リレー時評】ミサイル攻撃 地下鉄に逃げよ!=中村梧郎(JCJ代表委員)

  9月3日、北朝鮮が弾道弾を発射した。グアムの米軍基地も射程内とのシグナルだ。日本は上空通過時にJアラートを発令し新幹線を止めた。遅く無意味な警報だった。
  岸田首相は国家安保戦略の改定と、防衛費の倍増を何度も言ってきた。その主たる標的は北朝鮮でなく中国である。
 北が発射する半月も前、朝日新聞は「ミサイル攻撃に備えて日本の地下鉄駅を避難壕に改造(9月⒛日付)」との記事を載せていた。対中シフトである。その概略はこうだ。「…学校などが有事の避難先とされたが地下鉄は対象外だった。ウクライナにならい住民の避難場所を確保する。東京都は5月、新たに105の地下駅、大阪は108か所を指定した…」
 ミサイルには本来、核弾頭がつく。退避壕は地下深くなければならない。敵基地攻撃能力や核兵器共有論が叫ばれる今、日本もついに臨戦態勢か、と気付かせる不気味な記事である。なんと首都も標的になることが前提となっている。同じ日、事態の重さを見なかったのか他紙は報じていない。
  ニューヨークを歩くと、建物の壁に三枚葉の放射線標識が時々見つかる。核シェルタ―の表示だ。
  冷戦時代、核戦争が起きてもシェルターに逃げれば安全とされた代物である。その地下壕に入ってみた。かび臭い密閉空間。放射能塵は入らないが換気扇がある。水と食料はひと月分。連絡は電話、との話であった。

 これで核から身を守れるのか。電源喪失で冷蔵庫も換気扇も使えない。酸欠はどうする。運よく一週間で出られても地表は放射能に満ちている。インフラが全壊し、飲食もできない空間でヒトはどう生きるのか。眉に唾を付けつつシェルターを眺めたものだった。
 ロシアもウクライナも地下鉄は核戦争を前提に造った。100m以上の深度で爆発には耐える。だがニューヨーク同様、当初は生きられても後の保証がない。放射線を侮ったか、または無知なのか。
 台湾有事が身近な話となった。米国は挑発を続け、中国は怒る。問題は昨年、安倍元首相が「台湾有事は日本有事」と言ったことだ。勃発なら兵を送り、敵基地にミサイルを撃ちこむのだろうか。南西諸島へのミサイル配備が進んでいる。反撃されれば日本列島は廃墟と化す。
 安倍氏が遺した負の遺産は、カルトとの癒着を筆頭に、軍事でも経済でも数え切れないほどだ。やはり知らぬ間に臨戦態勢が整えられてきたとみるしかない。
 日本の地下駅はどこも浅い地層にある。日本一深い大江戸線六本木駅でさえ42mでウクライナの半分以下。有事となればみな瓦礫に埋まる。
 国民はその覚悟を背に地下鉄に逃げよ、ということなのかもしれない。根本的対策は地下への避難ではなく、武力行使をさせない平和外交であるはずなのに。
 中村梧郎
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号


posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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