2022年11月20日

【今週の風考計】11.20─いま目が離せない永田町とドーハで起きていること

補正予算29兆円に膨張
今週から12月初めにかけて、永田町とドーハに釘付けになる。一つは日本の国会の動きだ。二つはカタールでのサッカーW杯である。
 まず日本では、10月の消費者物価が3.6%上昇、40年半ぶりの歴史的な上昇幅となった。国民の悲鳴は日増しに高まるばかり。東南アジア歴訪を終えた岸田首相は、支持率30%台が続くなか、寺田稔総務相の「政治とカネ」疑惑が深まり更迭の決断が迫られる。
さらに国会では21日から第2次補正予算案の審議に入る。その歳出総額29兆円。その財源は約8割を新規発行の国債22兆8520億円で賄う。今年度の新規国債発行は62兆4789億円に膨らみ、22年度末には発行残高1042兆4千億円となる。
とりわけ今度の補正予算で組まれた防衛費は、鹿児島県の馬毛島基地整備・地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の維持費など4464億円が新たに計上された。補正は突発的な災害や不況対策で組まれるもので、その財政規律を無視して防衛費を積み増し。防衛費は当初予算と合わせ5兆8469億円に膨張した。
 しかもその財源を、さらなる増税、すなわち復興特別税の援用や消費税・法人税などのアップで賄うというのだから、国民が怒るのも無理はない。国会での討論から目を離せない。

カタールW杯の陰で
もう一つは、4年に1度のサッカーW杯である。カタールの5都市8競技場で開幕した。国土は秋田県ほどしかない小国に120万人が訪れ、世界で50億人がTVで視聴する。
 筆者も日本チームの活躍を願い、29年前の<ドーハの悲劇>を払拭する勝利に向け、ワクワク・ハラハラだ。だがW杯カタール大会には深刻な問題が潜在しているのを、これまた忘れてはならない。
人口約250万人のカタールは急速な経済成長を遂げてきた。それは豊富な天然ガスと人口の9割を占める南アジアやアフリカからの移民労働者の低賃金によるものだ。
実際、40度Cを超える熱暑のカタールがW杯開催地と決まった2010年12月以降、砂漠地に44兆円もの巨額な経費を投入し、空港や地下鉄、スポーツ施設を急ぎ造るため移民労働者が動員された。
 炎天下、低賃金で働かされているW杯スタジアムの工事現場は「地獄のような環境」で、まさに奴隷労働に等しいと告発されている。
 これまで移民労働者を監視するため、転職や出国の管理規制制度まで設けていたが、国際的な批判を受けて2年前から転職の自由を認め、最低賃金制度を導入した。

共通する「生活と人権」に思いを
しかし英紙ガーディアンが、「W杯の開催決定後、6751人の移民労働者が死亡」と報道し、W杯参加国からボイコットの動きすら出るに及び、カタール側は「W杯関連で亡くなった労働者は会場建設に携わった3人」と反論、さらに<スポーツと政治>の分離を持ち出し、沈静化を図っている。
 それにしても隠し切れない過酷な実態に、欧州サッカーチームの主将らが彼らへの未払い賃金の支給やLGBTQ支援に向けての行動計画など、非難や抗議活動を加速させている。
 14日には数千人の移民労働者がドーハで集会を開催した。19日には英国にあるカタール大使館付近で、人権団体による大規模なデモも行われるという。
こうしてみると、永田町もカタールも国民生活や人権にかかわる重要なテーマが、同時に俎上に載っているのを痛感する。ボールにばかり目がいけば、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られそうだ。(2022/11/20)
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック