2022年11月24日

【22年度JCJ賞受賞者スピーチ】大賞 映画『教育と愛国』教育に政治介入の津波が=監督・斉加尚代さん

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日本は今、教育と学問が政治介入によって大きな危機を迎えています。5年前に放送したテレビドキュメンタリー『教育と愛国』に追加取材し、映画にしたのは、その危機感からです。公教育が戦前の状態に近づいているのではないか。映画は、教育現場から見えた小さな変化を珠数つなぎにして完成させた。見終わって「衝撃だった」という人が少なくありません。「大日本帝国の亡霊を見た思い。政治ホラーだ」と語る人もいました。

 戦後教育の転換点を振り返ったとき、なんといっても2006年の教育基本法の改定を挙げることになります。第1次安倍政権下でした。ナショナリズムを培養する愛国心条項がここに盛り込まれ、「既存の歴史教科書は自虐だ。自虐史観だ」といったスローガンを掲げる「新しい歴史教科書をつくる会」系の採択運動も加速していきます。
 映画に登場する森友学園の理事長の籠池泰典さんが「自分は2006年の教育基本法の改正で安倍さんを信奉するようになった。2012年の教育再生民間タウンミーティングに参加して維新や自民党の政治家たちが応援してくれるようになった」と胸を張っていました。その籠池さんが映画を見て電話をくれました。「見ましたよ!いい映画でしたね」と褒めてくれました。「今の教科書は安倍史観に染まっていて問題です。基本的人権が後退しています」とおっしゃって、「ご自身の愛国教育はどこいっちゃったの」と思いました。

 今年2月、ロシアが侵略戦争を起こしました。ロシアは今、事実をねじ曲げて愛国教育を行っているだろうと思います。世界が分断に直面しているのは、教育によるもの、教育が影響するものと言えます。教育と政治が一定の距離を保つこと、その普遍的な価値というのは共通の価値です。政治介入によって、教育の自由が奪われる、その行為は社会そのものから自由を奪いかねないと思います。子どもが主体的に学ぶ大切な学習権を 大人の責任で守らなければいけない、と思っています。
先ほどの講演で上西充子さんが「政治の津波は止めることができる」とおっしゃいました。今教育現場に津波がひたひたと押し寄せています。この津波を止めなければいけない
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号
 

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 22年度JCJ賞受賞者スピーチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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