2022年11月30日

【22年度JCJ賞受賞スピーチ】特別賞 琉球新報社 「民意の矮小化」に抗う 編集局長・島洋子さん

                               
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戦後77年の報道で、JCJから特別賞を頂くのは大変光栄で身の引き締まる思いです。
 来年、琉球新報は創刊130年ですが、戦時中沖縄3紙の新聞統合で「琉球新報」の題字は途絶え、戦後「うるま新報」として再出発。サンフランシスコ条約の1951年「琉球新報」に戻りました。
住民の4人に1人が亡くなった沖縄戦の間、新聞は戦意を煽り、大本営発表を垂れ流しました。私たちの報道の基盤は、このことへの深い反省です。

沖縄は日本独立後も27年間、憲法が適用されないままだったし、復帰50年も米軍に由来する事件・事故などで苦しんでいます。私たちはその不条理に抗い、権力に対峙してきたと自負しています。時に権力から攻撃されるのはその結果です。
 2015年自民党の勉強会で講師の作家が「沖縄の二紙は潰さなあかん」と発言。議員も「マスコミを黙らせるには広告収入をなくすのが一番。経団連へ働きかけよう」と呼応しました。

また97年、軍用地契約の代理署名を拒否した大田昌秀知事時代の衆院特別委員会での「沖縄の心は二紙にコントロールされている」との発言、「沖縄では先生も新聞も共産党に支配されている」と述べた2000年森喜朗自民党幹事長(当時)。政権と沖縄の民意が対立する場面での「民意の矮小化」です。この動きには徹底的に抵抗していかねばならないと思います。
琉球新報がよって立つところは二つ。一つは米軍施政以来、基本的人権さえ守られない沖縄の人達の苦しみを共有し、その改善を追い求める。もう一つは、戦争中大本営発表で戦意高揚に加担した反省を踏まえ「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓を伝え続けていくことです。

 今年、私たちは「いま 日本に問う」を表面、裏面に復帰の日の新聞を復刻し、読者に届けました。
復帰の日を「お祝いムード」にせず、50年前の苦悩が今も続く沖縄の「現実」と「気持ち」を「紙の力」で伝える試みです。
きょうの琉球新報紙面は1ページを使い「JCJ賞受賞特集」としました。改めて私たちの立脚点を再確認させてくれたJCJ賞に感謝します。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 22年度JCJ賞受賞者スピーチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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