2007年07月29日

第21回参院選 当日の各紙社説を読む

VFSH0022  参院選の投票が始まった。
 29日午前7時から全国約5万1000か所の投票所で一斉に投票が始まった「第21回参院選」。安倍政権発足後、初の大型国政選挙だ。 この政権が継続に値するかどうかを問うことになる。121議席をめぐり、選挙区で218人、比例代表159人の候補者が争う。

VFSH0023  投票時間は原則午前7時から午後8時だが、 今回は全国の投票所の約3割が投票締切り時間を最大4時間繰り上げを決めている(前回参院選;繰り上げ実施は2割程度)。 投票終了時間を繰り上げる自治体が増えているが、理由としては「地方では夕方以降、投票する人は少ない」 「夜間に出歩くとハブに襲われる」(鹿児島・徳之島町選管)=25日付毎日新聞=などが紹介されている。
 同じ記事によると、繰り上げる投票所が多いのは鹿児島県1193カ所、北海道1034カ所、岩手県1008カ所などで、 実施しないのは東京都、大阪府、神奈川県、千葉県だけだという。 この投票終了時間を繰り上げ投票所の増大をめぐっては、 民主党の武正公一氏が、「市町村合併を理由とするなら今後も繰り上げ数の増加を助長し、到底容認できない。 特に開票時間を早めるためなら投票権の保障を妨げる結果となり、容認できない」(24日付朝日新聞)として、 「選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別な事情のある場合に限り」行うよう総務省の選挙部長に申し入れている。
 総務省は、「投票所を閉じる時刻の繰り上げは選挙人への周知を含め適切に対応するよう要請してきた。 市町村選管はこの趣旨を踏まえ適切に判断をし、決定していると考え、選挙人への周知徹底にも努めていると考える」(同)と回答している。
 きょう(29日)の午後2時現在の全国の投票率は、27.78パーセント(対前回比+0.08ポイント)となっている(各紙=総務省)。 東京26.49パーセント(対前回比+1.70ポイント)、神奈川25.77パーセント(対前回比+2.09ポイント)、大阪27. 10パーセント(対前回比+1.24ポイント)など、都市部で前回に比べて投票率が上がっている。中越沖地震の影響が懸念される新潟県は、 34.97パーセント(対前回比−2.21ポイント)となっているという(→毎日新聞)。
 ただ東京などで大雨洪水警報が出されており、その影響がどう出るかも気にかかるところだ。

 投票日のきょう、各紙が社説で今回の選挙の意義などを説いている。
 以下、その要旨を私なりの勝手な要約でざっくりと紹介しておこう。

・東京新聞「参院選きょう審判 投票して歴史を刻もう」
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007072902036779.html
 【要約】
安倍政治を“信任” するのか、それとも「ノー」 を突きつけるのか。有権者が審判を下す時がきた。年金や「政治とカネ」、憲法など判断材料もある。いよいよ有権者の出番だ。 政治学者の間では、今回の参院選は「クリティカル・エレクション(決定的選挙)」になるかもしれないといわれている。米大統領選で三、 四十年に一度起こり、政党の支持基盤が入れ替わるなど政治の流れを大きく変える選挙をいう。世論調査で七割が「必ず投票する」と答え、 期日前投票は一千万票に乗る勢いだ。無党派層の関心も高い。参院選では有権者一人一人が選挙区と比例代表の計二票を持つ。 比例代表は政党名を書いても候補者名を書いてもいい。各党の政策と政治姿勢をよく吟味しよう。そして、私たちの「二票」で歴史を刻もう。

・朝日新聞「若者たちへ―その1票に未来がかかる」
 
http://www.asahi.com/paper/editorial20070728.html
 【要約】選挙の結果は間違いなく、これからの暮らしに跳ね返ってくる。 投票の意味を見いだせないという若者には、二つの視点から考えてほしい。一つは、世の中に広がる格差社会の波を、 若い世代こそが大きくかぶっているということだ。二つ目は年金問題だ。こんな現状を変えたいと思うなら、声を上げることだ。 仲間同士で愚痴を言い合っても、世の中は動かせない。自分たちの抱えている問題を後回しにさせないためには、若者たちの存在を示すしかない。 それにはまず、投票所に足を運ぶことだ。

・北海道新聞「参院選*きょう投票*目を開き声を上げよう」
 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/40497.html
 【要約】参院選は政権選択選挙ではないとされるが、 結果次第では安倍晋三政権は困難な道を歩まねばならなくなる。安倍政権の命運を大きく左右する重大な選挙だ。 年金は受給年齢を迎えたお年寄りだけの問題ではない。若い世代こそ身近に感じるべきだろう。 現行制度上はどちらも無年金者になる可能性が高い。それでは不安だ、困るというなら、制度を変えるよう政治に働きかけていくことだ。 正規雇用の機会が少ない。最低賃金が安すぎる。改憲の行方が気になる。ふだん友人と話し合っているさまざまな思いを政治に伝えよう。 その機会が今回の参院選挙だ。

・毎日新聞「参院選きょう投票 緊張感増す選挙の重い一票」
  http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070729k0000m070113000c.html
 【
要約】 毎日新聞の直近の調査では有権者の関心は年金が1番だが、次いで格差、「政治とカネ」が続いた。政権の安定か、政権交代への道筋作りかは、 今後しばらくは、国政選挙では一大テーマになるだろう。それに飽き足らない有権者には独自路線の選択もある。緊張感を増す参院選に、 有権者はこぞって参加しよう。

・産経新聞【主張】「混乱と停滞に戻すのか 将来見据えた投票行動を」  http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070729/shc070729000.htm
 産経新聞は「混乱と停滞に戻すのか 将来見据えた投票行動を」と題して、 「参院の本来の趣旨は衆院に対する抑制機能にあるはずだ。その選挙が、またもや政局を大きく左右する様相を呈している。 政局本位の選挙であってはならない」と書いている。安倍政権擁護のちょうちん行列を開陳しているようにしか思えない。
 同グループのBusiness iは28日の「参院選、あす投開票 大敗のたびに景気失速 参院、やっぱりいらない?」*の記事で、 自民党の中川昭一政調会長の「政権が安定しないと適切な経済政策を打てず、必然的に景気は後退する。しかも、 政局が流動化する原因はいつも参院選での敗北だ」という発言を引き合いに出して、「参院選での与党大敗と、 その後の景気や株価の間には確かに相関関係が」、などともっともらしく書いている。
 これはジャーナリズムというよりプロパガンダ、スポンサーの意向を汲んだ明確な広報宣伝紙と呼ぶべきだろう。産経新聞のきょうの主張 (社説)のタイトルも「混乱と停滞に戻すのか 将来見据えた投票行動を」で、趣旨は同根といえそうだ。
 今回の参院選への国民の関心の高さが、期日前投票の増加にも表れているとしつつ、その理由を<「年金選挙」 として醸し出されたムードの影響>に求めている。年金問題を「ムード」の問題と片付けている。「早急に対応策が整えられ、 年金記録問題はひとまず片付いた。この問題だけで与野党の勝ち負けを決めようというのは、どうみても無理がある」との主張なのだが、 こうした立論の試みそのものに「無理がある」ように思えてならないのだが、どうだろうか。

・読売新聞「参院選投票日 日本の将来見すえた選択を」
 
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070728ig90.htm
 読売新聞社説のタイトルも、後部にある「将来見すえた」は産経新聞と共通している。
「仮に参院の与野党勢力が逆転すれば、参院での法案処理の主導権は、与党から野党側に移る」としつつ、「野党の出方次第では、 迅速を要する内外の重要政策の遂行に支障が出たり、国民生活関連の法案すら成立せず、政治の無用の混乱や停滞、 空白を招いたりすることもありうる」と指摘する。
 産経新聞ほど露骨なプロパガンダではないにしろ、「選挙後は、結果のいかんを問わず、与野党ともに、 重要な政策課題に取り組まなければならない」と指摘する。
 読売新聞にとっての重要政策課題とは、●経済の安定成長のための基盤構築、●巨額の長期債務を抱える財政の再建、●年金や医療、 介護など社会保障システムの再構築、●それを支えるための消費税率引き上げを含む税制改革、●国家公務員制度の改革、 ●憲法改正の論点整理にあたる憲法審査会での論議、●北朝鮮の「核」の廃棄と拉致問題の解決、 ●テロ対策特別措置法の延長をはじめ国際テロ対策なども喫緊の課題だ、というわけである。
「責任ある選挙公約を掲げている政党はどこか。もう一度、公約の中身を吟味したい」と呼びかける読売新聞社説だが、「安倍首相は、 中韓両国との関係改善や、教育の憲法とも言われてきた教育基本法の制定以来初めての改正、 憲法改正手続きを定めた国民投票法の成立などの実績を訴えた。これらをどう評価するかも、一つの判断材料だろう」と提案している。
 中韓両国との関係改善を織り込みながら、教育基本法の改定や改憲準備のための国民投票法の成立を賛美する。こうした読売新聞社説の 「重要政策課題」の認識からいえば、やはりこの新聞の社説は安倍首相の後ろ向きの「実績」を高く評価し、支持する立場を崩してないのである。

参院選、投票始まる=あす未明に大勢判明(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070729-00000026-jij-pol
参院選:投票終了時間繰り上げの自治体増える(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070725k0000m010091000c.html
投票時間繰り上げ 「限定的に」民主申し入れ(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/0724/TKY200707240598.html?ref=rss
<参院選>投票率は前回よりわずかに上昇 午後2時現在(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070729-00000015-mai-pol
東京23区などで大雨洪水警報(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jp/warn/
*参院選、あす投開票 大敗のたびに景気失速 参院、やっぱりいらない?
(FujiSankei Business i. )
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200707280022a.nwc

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
JCJふらっしゅ:Y記者「ニュースの検証」
JUNZO KOWASHI
http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

posted by JCJ at 18:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック