2023年01月09日

【映画の鏡】閉鎖社会を乗り越える豊かさ『若者は山里をめざす』途絶えていた祭りも復活=鈴木賀津彦

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  2022年「若者は里山をめざす」制作委員会

都心からわずか60qだが、埼玉県1番の消滅可能性都市と言われた東秩父村に、都会暮らしを捨て移住する若者たちが増え始めた。UターンやIターン、彼らは何に魅力を感じ、自らの生き方をどう切り開いていこうとしているのか。その答えと展望を、2019年から3年間撮影取材を続けた原村政樹監督が本作で示してくれている。

村出身の西紗耶香さん(31)は25歳の時、東京での会社勤めを辞め戻ってきた。10代のころはコンビニもない村から出たいと都会の大学に行ったが、「消滅させず輝きを取り戻したい」と、ふるさとの魅力を伝える活動を始めた。付き合いのなかった老人たちの元へ通うと、山の自然を活かし豊かに暮らす老人たちの力強さに気付き、昔の生活の中に閉塞する現代社会を乗り越えるヒントがあると確信した。

東京出身の元銀行員(25)は地域おこし協力隊として村の野菜・ノゴンボウで特産品を開発しようと取り組み、移住を決意。また和紙職人を目指して来た京都の芸大卒の女性(23)など、若者の暮らしぶりを淡々と追う。そんな中、途絶えていた祭りを復活させようと、西さんらは集落の人たちと3年間話し合い、6年ぶりに実現。地域の人たちのほか村を離れた家族らも大勢集まり、山里は輝いたのだ。
こう書くと、「都会からの逃避」「これで地域活性化など無理だ」と批判的な見方も当然出るだろう。しかし「武蔵野」「お百姓さんになりたい」「食の安全を守る人々」など農業をテーマに作品を次々発表してきただけに、原村監督ならではの展望を示している。14日から新宿など順次公開。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年12月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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