およそ「めでたい」とは程遠い2023年の新年を迎えた。昨年12月16日、安保3文書が閣議決定された。専守防衛から敵基地攻撃へと戦後日本の進路の大転換が、国民の信を問うことも国会論議さえなく、閣議決定だけでいとも簡単に決まってしまう恐ろしさに身がすくむ。それに対する国民の広範な議論も起こらないまま、その犠牲を真っ先に強いられるのは沖縄を含む琉球の島々だ。今年はどんな年になるのだろうと、暗澹たる思いをぬぐえない。
法を無視した閣議決定の積み重ねで強行されてきた辺野古新基地建設は、1997年12月21日に行われた名護市民投票で「新基地NO‼」の市民意思が示されてから25年が過ぎた。そして2013年1月、県内全41市町村長・議会議長が署名捺印した「建白書」(オスプレイの配備撤回、普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内移設断念を求めた)を首相と手交してから間もなく10年となる。「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は、10年経っても県民の総意が踏みにじられたままである現状を訴え、国会論議を実現させるために、建設断念を求める国会請願署名運動を開始した。
1月7日、辺野古の座り込みテント前で署名実行委員会の結成集会が行われ、約650人の県民が参加した。実行委員長には稲嶺進・前名護市長が就任(=写真=)。3月半ばまでに県内外、オンラインも含め34万筆(昨年の県知事選での玉城デニー知事の得票数)をめざす。
当日採択されたアピール文の冒頭には、復帰前年の1971 年11 月、当時の屋良朝苗主席が国会へ携えた「建議書」の中の一文が引用されている。「沖縄は、余りにも国家権力や基地権力の犠牲となり手段となり利用され過ぎてきました。復帰という歴史の一大転換期にあたって、このような地位からも沖縄は脱却していかなければなりません」
この「建議書」を踏みにじった「沖縄返還協定」。そして「建白書」を踏みにじった新基地建設強行から「再びの沖縄戦」へ。この悪い流れを止めるため請願署名に是非ご協力下さい。(署名用紙はオール沖縄会議HPからダウンロードできます。)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年1月25日号
2023年02月06日
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