2023年02月11日

【出版界の動き】電子出版の伸長が鈍化、本屋から複合文化施設へ転換=出版部会

●2022年12月の出版物販売金額972億円(前年比5.7%減)、書籍522億円(同3.5%減)、雑誌449億円(同8.2%減)。月刊誌388億円(同9.1%減)、週刊誌61億円(同1.8%減)。返品率は書籍29.0%、雑誌37.8%、月刊誌36.4%、週刊誌45.3%。

●22年1年間の紙・電子合わせて出版物販売金額は1兆6305億円(前年比2.6%減)。紙製では書籍6497億円(同4.5%減)、雑誌4795億円(同9.1%減)。月刊誌4017億円(同9.7%減)、週刊誌778億円(同5.7%減)。
電子では販売金額5013億円(同7.5%増)。コミック4479億円(同8.9%増)、書籍446億円(同0.7%減)、雑誌88億円(同11.1%減)。

●これまで2ケタ増を続けてきた電子出版市場は、2014年1144億円と比較すれば、この8年で約4.4倍の市場に成長した。だが電子版の書籍・雑誌はマイナス成長の急ブレーキがかかり、なかでも電子コミックの大幅な売り上げ増が見込めなくなり、さらにコロナ禍による巣ごもり需要も終わり、物価高による買い控えが出版市場を冷え込ませている。

●KADOKAWA、取締役の過半数を社外取締役にして、取締役会に対する監督機能を強化する。東京五輪を巡る汚職事件に関与した前会長・角川歴彦被告への「過度の忖度とそれを醸成した企業風土があった」として、再発防止に向けた対策。

●21年の書店の売り場面積300坪以上の新規出店を見ると、24店のうちツタヤ関連が12店と半分を占め、続いて駿河屋3店、未来屋、三洋堂が各2店となっている。

●CCCが軽井沢町に敷地面積3500坪・建物9棟などの複合施設を作り、そこに平安堂軽井沢店の跡地に出した軽井沢書店の支店を設けるほか、インターナショナルスクール、カフェなどを備え、一大文化拠点をつくる。

●「LAWSONマチの本屋さん」の出店が神奈川・神戸・青森にも。神奈川のローソン向ヶ丘遊園南店125坪のうち25坪を書店とし6000点の出版物を扱う。神戸のジェームス山店では88坪の売場のうち15坪を書店とし3000点の出版物を扱う。青森の田子町店は93坪の売場の23坪を書店とし6000点を扱う。これで総計7店舗。これまでの出版物の売上高は導入前に比べて20倍、女性や家族・シニアの来店が増えているという。

●1922年に創刊の「週刊朝日」が6月9日号で休刊、101年の歴史を閉じる。2022年の平均発行部数7万部。朝日の雑誌休刊をたどってみると、1992年に「朝日ジャーナル」、「月刊Asahi」「科学朝日」「アサヒカメラ」「週刊アサヒグラフ」「論座」と続く。各誌とも一定の読者を持ち役割を果たしてきただけに惜しまれる。いまや残っているのは「AERA」「月刊Journalism」2誌のみ。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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