2023年03月16日

【焦点】「上昇が目的、何するかがない」小池都知事評―『安倍晋三 回顧録』でダメ出し=橋詰雅博

 住民の反対を完全無視して東京・神宮外苑再開発事業を認可した小池百合子都知事。この仕打ちに約60人の住民は東京地裁に認可取り消しを求める行政訴訟を起こし対抗した。小池知事という政治家を知るうえで参考になるのは近刊『安倍晋三 回顧録』だ。安倍元首相は小池知事をこんな風に見ていた。

 <彼女を支えている原動力は、上昇志向だと思う。誰だって上昇志向を持つことは大切だが、上昇して何をするのかが、彼女の場合、見えてこない。上昇すること自体が目的になってしまっている。上昇する過程では、小池さんは関係者を徹底的に追い落としてきましたね>(同書264ページ)
 安倍元首相を政治家として評価しないがと前置きし、ただ小池評は正鵠を射ているというのは、元都庁幹部職員の澤章氏だ。自身のYouTube『都庁WatchTV』でこう語っている。
 「小池さんというのは、中身は何もありません。政治の世界において、着ぐるみをどうやって価値を挙げていくか、もうそれだけが目的、もうそれしかない。政治家であれば、自己中だったり、わがままだったり、上昇志向があって、それは当然ですけど、小池さんの場合、それが度を越しているというか、ちょっと異様な人です」

 外苑再開発事業の樹木伐採問題でも、当初は約1000本と説明していたが、ふたを開けてみると新宿区エリアだけでも3000本もの木が切り落とされることが事業者の計画で判明した。小池知事は当然事前に知っていたはずなのに触れずじまい。説明は一切ない。法令に則り手続きが問題なければ、認可する、あとは事業者任せという極めて不誠実な対応だ。おそらく、外苑再開発事業全体では3000本をはるかに超える木が切れるであろう。

 反対の声は少数と切り捨て冷酷な判断で事業を促進させる小池知事の野望は、政界での頂≠ゥ。しかし単なる「異様な人」で終わるかも。来年夏の都知事選挙に注目だ。
 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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